第2話 モブなら


 キラキラ光る。

 大音響の中で、歌い、そして踊る。

 壇上を見上げる僕たち観客は、君に見惚れながら。


「いっくよぉぉおおおお!!!!」


「「「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」


 全力で、ついていく!




*※*



「たんのしかった〜!」

 私はひとりのびをして、大きく息を吸う。

 会場前はまだ物販に並ぶなどの客がいて混雑気味だった。

 すぐ近くには連れ立ってきたのだろう、感想を言い合う人たちもかなりいて、完全ソロ参戦の私はなんとなく居心地の悪さを感じてしまう。

 が、この後曜ちゃんのお見送りが待っている。

 たかが居心地の悪さで帰るようなひ弱ではない。

 スマホにライブの感想をメモり、会場の外観を推しのラバストと一緒に撮影する。

『沖曜2ndLive目を覚ませ!』ライブタイトルの弾幕が明るく照らされて、まだまだ現実には帰れそうになかった。

 まさか興奮のしすぎでぶっ倒れるとは思わなかった。

 よし。

 呟きSNSでライブの感想を長々書くのは電車での楽しみとして、と、写真のSNSに今の写真と曜ちゃん関連のハッシュタグを四つ、ライブ関連のハッシュタグを三つつけて「神はおられた……」「再臨に期待」で投稿。

 30秒後にいいねがついた。

 今日一緒に来られなかった友人だ。

『パンフ…! パンフを…!!!』

 切なるコメントに、「(`・ω・´)シャキーン」と返信。『ありがとう!!』のコメントを見てスマホを閉じると、鞄にしまった。

 そろそろだ。

「きたぞ」

 ひそやかなその声は、誰のものかわからなかったけれど、何を意味しているのかはその場の全員がわかっていた。


「みんな! 今日はありがとう!」


 全員が声の方を目で追い、全く同じ動作で上を見上げた。

 会場の二階エントランスから私たちを見下ろして、曜ちゃんはアンコールの時と同じ衣装で大きく手を振った。


「気をつけて帰ってね!! また会おうね!!!」


 天真爛漫。

 太陽の擬人化。

 人間の言葉では言い表せない。

 彼女の存在そのものが、私たちオタクの───


「「「ありがとう!!! 曜ちゃんも気をつけて帰ってね!!!」」」


 おおお、神よ!!!!

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アイドル!! モノ柿 @0mono0kaki0

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