変わらぬ憧れと密かな後悔

 静かな夜の海、急に呼びつけられて親友に会いに行った、とある男のお話。

 しんみりとした切なさ漂う、現代もののドラマです。
 男と男の強すぎる結びつきのお話というか、男から男への巨大な思いの物語というか、彼らふたりの関係性がとても素敵でした。

 二十年来の友情と、その友情以上に強い憧れと、そして内心に隠した深い後悔。
 主人公の複雑な胸中が、さまざまな思い出話と共に少しずつ詳らかになってゆく、その過程がじわりと胸に染みるのがとても心地良かったです。
 特に終盤の切ない展開が好きで。しんみりしちゃう……。

 こんないいお話にこんなこと言っていいのかどうか悩んだんですけど、ふたりの関係性に独特の色気みたいなものを感じたというかなんというか、とにかく素敵でした。

 波音と潮の匂いが伝わってくる、穏やかで切ない作品でした。