読書感想文2
私は、辻村深月さんの「ツナグ」及び「ツナグ 想い人の心得」を選んだ。
この本と出逢ったのは、私が中学二年生の時だった。その頃は、児童書だったり、図鑑であったり、ラノベや漫画等ばかり読んでいた。そんな中、母が、「中高生が読むべき」という見出しのついた帯を見て、是非私に、ということで買ってきた本が「ツナグ」であった。そんな小さなきっかけで私はこの本を読み始めた。この本は、私を直ぐに夢中にさせた。
物語の主人公は、渋谷歩美という、創永高校に通う男子高校生である。彼は幼い頃、両親を亡くしているため、祖母と親戚とともに日々過ごしていた。なんの変哲もない、普通の男子高校生。しかし、彼の家には秘密があった。それは、家に代々伝わる不思議な不思議な力だった。そして、彼らはその力で出来ることを、家業にしてきた。その家業が
ある日、主人公は入院した祖母に
ツナグは人に生者のときと死者のときそれぞれ一回ずつ、自らと反対の者と面会する機会を与える。もし、あなたが生者のうちにツナグと会うことができたら、誰と会いたいだろうか。もし、あなたが死んだあと、面会希望者が現れたら、誰ならば合意するだろうか。
私はこの問いに即答することは出来ない。今、私が会いたい人に会ったとして、今後、会いたい人ができてしまったら、もうその時は会う権利を持っていないのだ。人生に一度の依頼人の権利と、死後に一度の請負人の選択の権利。簡単に決めることなど出来ない。たった一度の権利なのだから。
「ツナグ」の最後に、主人公の祖母から、主人公への
私はそれを知った時、こんなにも納得のいく答えが他にあるだろうか、と思った。夫婦仲が良い二人に起きた悲劇が、その理由が理解できたのだ。同時に正直に話すだけでな駄目なのだと知った。それは嘘をつけということではない。本当に「全て」を、可能性も含めた全てを、大切な人には話しておかなければならないのだと、伝えなければいけないのだと気付いた。話さなければ、誰にも気づかれない事がほとんどだ。それどころか、自分でさえも気づかない事も多い。その時から、私は、思ったことは正直に全て口にしようと思い、それを実行しようとしてきた。今、それで何か良かったと思えることは無い。が、それで不利益を被ったことも無い。あのままの自分だと陥っていたであろう不安に、恐怖に、悲劇に遭わなかったのだ。正直に全てを話すこと、これが私がこの本から学んだ事の一つである。
そして、「ツナグ 想い人の心得」では、「ツナグ」より七年後の物語が描かれる。こちらは、「ツナグ」よりも特殊なケースが多いように思われた。歴史上の人物や、思いを寄せる人の親友、何十年も面会を断り続ける人。主人公はこのような特殊な場合にも対応しなければならない。ただ、ここで私は疑問に思った。この時の特殊とは何なのだろう。私の答えは、私の主観的な捉え方であり、彼らからすれば、ただ会いたい人に会いたいと願っているだけである。つまり、特殊とは人が勝手に、無意識にグループ分けしたグループの該当数が少ないものなのだろう。人々は皆特殊であり、似た者同士を集めた時、その同士が少ないグループが特殊と呼ばれるのだ。本当に自分勝手だが、この本を通してこのような新しい視点を身につけることができた。
私が感じたのは「ツナグ」では、人は会いたいから想い人に会っていたが、「ツナグ 想い人の心得」では、人は合う必要があると感じたから想い人にあっていたように感じた。それは、主人公視点の話でよく感じ取れた。特に鶏野さんの死を受けた菜緒との関わりが顕著に現れていたと思う。
この物語より、私はツナグが居ないであろう世界で、後悔しない生き方の鱗片を学んだような気がする。その学びは私が個人的に感じたものであり、他人とは別のものであろう。しかし、それは素晴らしいことである。自分以外の者と共感できなくても共有することは出来るのだから。
秘密(公開してるじゃんwww)みたいな感じのメモ的な? 彼方のカナタ @VERE
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