読書感想文

 私は小説を読むのが好きだ。だから、この読書感想文も小説の感想を書こうと思っていた。私はよく市の図書館に行く。そこで本を探していた時、この本が視界に入り、気になった。キラキラネーム。これまで存在も疑っていて、あったとしてもそれは軽い存在だ、そのように考えていた。しかし、それを取り上げて本を書いている。どのような事が書かれているのだろうかと興味を持ちこの本に決めた。

 この本では著者と光宙という名の出合いから始まる。インターネット上の記事で著者が古代漢字を調べていたところ、キラキラネームの一つ光宙に出合ったのだ。これから受けた印象は強烈でいつしかキラキラネームの謎を追っていた。そして漢字、名前の歴史から謎を解き明かし日本の現状の考察をする。

 私はキラキラネームに対する感情や違和感は年代によるものだろうと考えていた。勿論未来ではそれがもっと薄くなる、そう考えていた。そして読み進める内に「見慣れてくると、だんだん読めるようになってくる」という文を見つけ納得した。見たこともない名でも何度も見るうちに、また他の名を読む内に読み方が分かるようになるのだ。著者がキラキラネームとして上げた心愛ここあるなはなんの違和感なく読めるのだ。知人に同名がいるため見慣れていることが原因なのだろう。しかし、王冠てぃあら紗冬しゅがあは全然わからなかったのだ。有名人を知る人は共感できると思う。例えば芦田愛菜あしだまなさん、谷花音たにかのんさん(調べた)等知っているから読めるが知らなければ全く読めないだろうと思った。著者はこれらの作り方、十の方法を纏めている。これに従ってみると殆どの名がどのように考えられたかが分かるのだ。是非多くの人に知ってもらいたい、そう思わせるものだった。私は先程の名前がキラキラネームだと思っていなかった。それどころか普通の名前であると思い気に留めることもなかった。しかし、この本から人によってはキラキラネームに見えるのだと知り驚いた。

 この本のうち第四章で著者は名付けは深い森だと述べている。これに私は納得出来なかった。確かに名付けは難しいものである。親の願い等をその短い名前に乗せるため文字、読み方を考えるから。しかし、それだけではないか、そう思った。けれども私の考えは的外れで、著者とは視点が違ったと読む内に気付かされた。著者は名付けの歴史からその根源を探っていた。このことを知ったとき著者の名付けヘの考えが理解できたように感じた。同時に著者が感じたキラキラネーム、というか名付けへの違和感の原因が見えてきた事により自分それどころか現代人の漢字感、文化への意識自体が甘いとさえも思った。昔は常用漢字などという漢字の学習の制限など存在しなかった。確かに上流階級の者のみしか知ることはなかっただろうが、それでもその人たちは教養を身につけ重厚な漢字遣いをしていたに違いない。普段の私とは全く異なるものである。現代人は漢字は試験で出題されるからという理由だけで学習する人が多い。表面のみを知り中身を知らない事となるのではないか、こんな危機感を感じてしまった。このままではただのデザインと同じだ。外国人の理解不能な漢字タトゥー、水を流さない排水口等の様な見た目だけはしっかりしていても中身は実用性のない無意味な物になってしまうと。今日、「キラキラネームをつける親は非常識だ、教養がない。」とか「DQNネームをつけられて可哀そう。」という意見があるが、この本を読んだ後再度見てみると、教養がなってないのはその親もあなたも私も同じだ。まず漢字や名付けに対する態度から間違っているとしか思えない。そう思うようになった。

 私はこれまでキラキラネームなんて本当にあるのか。と都市伝説的な存在だと思い軽く見てきた。また、その中でも突出した名前で可哀そうなどと思っていた。しかし、この本を読んで名付けそれに関連する漢字という深い森に教養という準備をせず入り迷ったもしくはこれから迷うだけであり、デザイン化した名前が作られる要因になったのだと思った。私は危機感は勿論この結果に納得した。キラキラネーム。この言葉自体内容の薄い物だと思っていたがそのルーツはとても深く、私達はただ困惑するだけしか出来ないのも当たり前だと。そして、日本の漢字が意味のないデザインになる前に日本語に対する態度を変えるべきだと強く思った。

 キラキラネームという言葉に興味を引かれ手にしたこの本でキラキラネームに対する意識どころか名付け自体や漢字とその制限への態度までも変わらされたと思う。また、そこから発生している問題を知り自らの甘さを踏まえた上で熟考することが必要だと感じた。この問題に肯定否定を行うだけでなく根源を知りより良い選択をしたいと思う。これは他の事にも言えるため常日頃から気を付けたいと強く思う。

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