漫才:記録的猛暑

超時空伝説研究所

漫才:記録的猛暑

 A:「毎日暑いですね」

 B:「暑いですねえ。この暑さも地球温暖化の影響でしょうか」

 A:「あー、つまらない。暑いから温暖化? そんなの当たり前すぎるでしょう?」

 B:「じゃあ、あなたは何を考えているの?」

 A:「哲学です」

 B:「え? 哲学?」

 A:「形あるものはいつかは無くなる。そういうことを考えています」

 B:「随分大きく出たね。どうしたの?」

 A:「暑いな、暑いなと思っていたら、冷蔵庫が壊れましてね」

 B:「お気の毒ですね。夏場に冷蔵庫が壊れるってパターン、多いんですよね」

 A:「どうしようかなと思っていたら、エアコンが壊れてね」

 B:「踏んだり蹴ったりだね。それは困るでしょう」

 A:「仕方がないから電気屋に電話しようと思ったら、携帯の充電が切れてました」

 B:「いざという時に電話できないのが、一番困るね」

 A:「このように、形あるものはいつかは無くなるということを実感しております」

 B:「哲学じゃなくて日常生活だろ? で、どうするの?」

 A:「もう電気には頼りません!」

 B:「電気製品使わないの? 大丈夫、それ?」

 A:「人間は無人島でも生きていけるのです」

 B:「お前の家は無人島じゃないけどね」

 A:「料理は全部、生でいい!」

 B:「料理って言わないよ。 毎日サラダか?」

 A:「生グミ、生モゲ、生タナゴ!」

 B:「一つも言えてないけどね。おなか壊すだろ?」

 A:「焚火で料理します!」

 B:「通報されるぞ。お前んち、マンションだろう?」

 A:「ライターであぶります!」

 B:「裂きイカくらいしか食えないな。外食したらいいんじゃない?」

 A:「うちの近所には寿司屋とサラダバーしかないんだ……」

 B:「どんな地域に住んでんだよ? 寿司でいいじゃない」

 A:「お酢とワサビと生魚が嫌いなんだ」

 B:「何にも食えないな。寿司屋行くな、もう」

 A:「ガリは大好物なんだよ」

 B:「ガリだけじゃ食事になんないでしょ! 栄養偏るわ!」

 A:「ガリガリになりましてね。ガリだけに!」

 B:「くだらねえな! ガリだけに、じゃねえよ! 痩せてねえじゃねえか?」

 A:「一晩点滴打ったら、すっかり良くなって。かえって太りました」

 B:「何やってんだか? 普通に電気製品使って生活しなさい」

 A:「あ!」

 B:「何だよ? でっかい声出して」

 A:「うちキッチンは全部ガス器具だった」

 B:「じゃあ問題ないじゃない。普通に料理して食べなさい」

 A:「ガス器具も全部故障したんだった」

 B:「どうしようもねえな、お前んち! もう引っ越せ、そんなマンション!」

 A:「そう思ったんだけどね」

 B:「うん」

 A:「今朝エレベーターと自動ドアと部屋の鍵が故障しちゃいました」

 B:「だめだこりゃ! やめさせてもらうわ!」


(おわり)

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