第44話 枝豆

 夏は枝豆の季節だ。ご存知だろうが、枝豆は特別な豆ではなく、大豆の未熟果のことである。まだ、青いうちに収穫して、茹でて食べるのだ。酒場のお通しでもよく出されるので、現物は説明する必要はないだろう。

 大豆には、白大豆、黒大豆、赤大豆、茶大豆、黄大豆、青大豆、鞍掛豆と言われる種類がある。

 一般的な大豆は、黄大豆だろう。大体の大豆加工食品は、黄大豆を原料にしているし、煮豆やゆで豆もほとんどがこれだ。枝豆も黄大豆が一般的だ。

 黒大豆は、黒豆と呼ばれている方が普通だろう。そう正月のおせち料理に使われている豆である。黒豆の枝豆は美味で有名である。

 青大豆は、ウグイス餅にかける緑のきな粉に使われているらしいが、一般のお店では種を販売していないので栽培したことはない。

 赤大豆は、珍しい品種なので、私は見たことも食べたこともない。

 白大豆は、黄大豆にまぎれて、目にしているようだが、私はこれが白大豆だという形で出会ったことはないので分からない。

 鞍掛豆も珍しいので、出会ったことはない。青豆の一部が黒くなったぶちの豆らしい。

 茶大豆は、だだちゃ豆が有名になってから、一般にも出回るようになった。最近では、だだちゃ豆以外にも、茶豆系統の種が出回るようになったので、誰でも栽培できるようになった。

 昨年、枝豆を育てたときは、害虫に悩まされた。とにかく、大量の臭いやつが大発生したのである。そう、カメムシだ。コイツは、大豆がとにかく大好きなのだ。昨年は、収穫のたびにカメムシを打ち払い、豆を採らなくてはいけなかった。それでもしつこいヤツが豆のサヤにしがみついていて、一つ一つサヤを点検したものである。

 それでも懲りず、今年も枝豆栽培をしている。今年の品種は、茶豆系統にした。黒豆は、美味しいが収穫が遅く、豆が不揃いになりがちなので避けている。

 流石に今年もカメムシと格闘したくはないので、全体に背を低く網掛け栽培することにした。とは言ってもずっと網掛けできるわけではないので、最小限の農薬は使用した。最近では、私の借りている市民農園でも農薬を使う人が増えて来た。もともと、禁止されているわけではないので、問題はないのだが周囲の動向はかなり気を使う。まあ、そこらは私も小市民である。

 おかけで、今年は順調に育てることができ、カメムシもあまりやってきてはいない。

 最近は、育ちすぎてきたので毎日枝豆を食卓に乗せている。茶豆は、香りもよく、味も良い。これからは、これが定番になりそうである。

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酔人日 藍沢亮吾 @kg624ai

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