本と物語を愛する全ての人へ

物語を綴ることの素晴らしさ、物語を読むことの素晴らしさを美しく描いた短編。素敵な物語との出会いは恋愛と似ているのかもしれない。作者と景色を共有し、共に思い悩み、共に喜び、共に哀しむ。相手の心を慮り、自らの心を寄せていく。やさしく、そっと。そんな風に、まるで愛を育むかのように読み進める物語にも終わりがある。
切ない純愛に読書の尊さを重ねた描写は見事であり、広げられた情景の美しさと奏でられた韻の心地よさに読者は陶酔するだろう。
前向きなラストにも好感が持てる本好きの本好きによる本好きのための、想いのこもった一編。
読書の秋に読みたい作品です!