意味のないはずのものに意味を見出すこと

 先輩と後輩の、きっと他愛もない雑談のお話。
 現代もののホラーです、と、それ以外に言及のしようがない作品です。なにぶん、何を言ってもネタバレになってしまうので……。
 まだ未読の方はいますぐ本編へ!



〈 以下ネタバレ注意! 〉

 まんまとやられました。余計なことしちゃった……。
 そこに「何かある」と思えば、どうしても読もうとしてしまう、その習性を見事に突かれた感じ。

 作中に描かれていることそのものは、おそらく本当にただの雑談です(と、私個人はそのように読みました)。
 少なくとも、「彼らはなにひとつ怖い目や嫌な目に遭うことはない」という意味ではそう言えるはず。
 なのに、物語の外にいるはずの自分だけがなんか食らってる、という、この理不尽さがまさにホラーという感じでもう本当に大好き。

 作中に描かれている物事自体が恐怖を煽る、というよりも、「こちらの能動的なアクションを引き金にこちらを汚染してくる」という、その仕掛けそのものに感じる恐怖感。

 全部自分が勝手にやらかしたこと、という自覚がある分だけ言い逃れもできない、まんまとしてやられた作品でした。