こんにちは、ありがとう、さよなら、また逢いましょう

人はありえないことが起こったとき、奇跡と呼ぶ。
そして人は、奇跡に感動する。

つかみがいい。
本作は「あなたの母さんは、実はロボットだったの」からはじまる。
なんですかそれは、と読者に思わせる一文。

当初からドジな動きをしている。
もともと動くのには無理があったのだろう。
動き続けてきたから、どんどん壊れていったのだ。
二年余り動いていたのは、まさに奇跡だろう。

『生まれ変わったら、あなたのお母さんになりたい』は「紛れもなく私のお母さんの文字だと、私は思った」とある。
死んだ母親が書いたものなら、生まれ変わってもまた主人公のお母さんになりたいと願っていたのだろう。
だから、娘の作ったロボに母親として帰ってきたのだ、と読むことができる。

もう一枚を書いたのがロボ母さんだったら、いつまでも娘を大事に思っていた証。
きっと死んだ母親の魂が入って、いっしょに娘と過ごすことができたのだ。

親とは、いつまでも子供のことが心配で大切なのだ。