UAN発足


1952年6月


アジア共栄圏は現在東アジア地域のみに留まらず加盟国も増え、U(nited )A(sian) N(ations)、アジア諸国連合として改組された。アジア共栄圏本部は暫定的に東京に置かれていたが、今回のUAN設立に伴い、加盟国同士の連絡の容易さなども考えて各方面に交通の便が良く、情報通信網も世界各地と繋がるシンガポールに移転した。設立時点、1952年6月現在のUAN原加盟国及び地域は日本国(前年に国号変更)、日領ミクロネシア(マーシャル、マリアナ、東カロリンを統括する自治政府)、パラオ共和国、インドネシア連邦共和国、中華民国、華領満州自治区、華領チベット自治区、韓国、フィリピン共和国、ベトナム共和国、ラオス王国、カンボジア王国、マレーシア連邦共和国、シンガポール共和国、タイ王国、ビルマ共和国、インド共和国、バングラデシュ共和国、スリランカ、ネパール共和国、アフガニスタン共和国、イラン王国、イスラエル共和国、サウジアラビア王国、トルコ共和国の25の国と地域。これに加えて現在イラク共和国が加盟申請中である。加盟各国はそれぞれ国の内部においても政体も宗教宗派などもバラバラではあるが、そういう面では色々と寛容というか、もはや無頓着ともいえる日本の発案でUAN加盟承認の条件には「各国の思想、信条等の自由は保証する。但し、他の国や地域での独自の信仰等は相互尊重すべし」という文言が入れられ、連携が図られていた。無論、数年前から日本が中心となって根回しが行われており、本家国連の方にもUAN設立は承認済である。



アジア諸国連合UANの設立目的はアジア地域諸国及び地域全体の友好促進、一体となっての包括的安全保障及び経済活動の協力連携体制の構築である。

全加盟国及び地域は一列横並びとして、安全保障理事会や総会の重要な議決は全会一致を基本原則とし、安全保障理事会などの常任理事国制度は置かれていない。 またUANはアジア地域のみの連合とあって、本家の国際連合と比べると加盟国も少なく、アジア一体の原則から日本やインドネシア、中国といった大国でも強い権限はない。が、その分、UAN諸国間それぞれの意見は全加盟国の納得を得るまでとことん議論され、そうして本家国連より加盟国間の連携体制を強めようとされていた。かくして日本が目指した「真の大東亜共栄」は、東亜のみならずアジア全域を包括して、このUAN設立として、その完成を見たのである。



~完~


























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