EP.9

 さて。

 あの後しっかりと生贄を解放し、全員街まで送った……はずだった。


 私は唐突に立ち止まる。


 すると、私ではない誰かがおもむろに声を発する。

「アヴァルティル様?」


 ……

 

「やっぱり……付いてくるの?」

「はい、もちろん」


 そう。元捕虜の1人が付いてくるのだ。

 彼女の名は"リア"、身長は170くらいだろうか。色んな場所が色んな意味で大きくて、肩ほどまで伸びたウルフっぽい髪は少し汚れてはいるが元は綺麗な白髪だった事も伺える。肌は荒れやシミといった存在はこの世界には無かったと言わんばかりに綺麗で、雪のように白い。それでいて健康的に見えるのだから不思議だ。

 ジトッとした目はエメラルドのように美しい。ボロボロの布服を着ているが、それすらも着こなしているように見える。彼女の着たものは多分全てメイド服に見えるんだと思う。

 そして私は、貴族に仕えていたのであろう美しい所作しょさにはもはや感動すら覚えている。



 あゝあぁ、なんと素晴らしい動きなのだろう。

 なんと素晴らしい瞳なのだろう。

 なんと素晴らしい大πおっぱいなのだろう。


 おっと失礼。口が滑りました。


 話を戻そう。

 とにかく、それ程までに美しい彼女は延々と付いてくるのだ。理由は分かる。知ってる。と言うか本人が言ってくれた。


 曰く "仕事の為、馬車に揺られてヒーリアの街へ向かう途中、彼らに襲われ主人や婦人、護衛も殺され、家族を失った私に行く場所はもはやない、奥方のお腹には第1子も居たのに……" と……。


 なんとも辛い話だが、ボクにはどうしようも無い。蘇生なんて出来ない。



 

  ……自分の家族とすら言える者達が目の前で殺される。

 そんな事があっても良いのだろうか?

 結論としては"良くはない……が、ここはそういう世界"だ。これをどうにかしたいなら、世界けんりょくしゃそのものを変えるしかない。


 つい先日転生してこの世界どころか右も左もわからない。そんな話せる赤子のようなボクですら人の命が軽いことが分かるのだ。

 

 賊や魔物の存在や国同士の戦争、事実上無法地帯となっている場所等も存在するかも知れない。この世界の医療技術も分からないけど、もしかしたら風邪ですら死ぬ人がいるのかもしれない。

 しかし、そんな物に目を向けていられるほどこの世界は発展していない。


 まずは発展。それしか道は無いのだ。

 しかし、この世界権力者は権力にしか目が無く……



「…ァ……ルティ……ま……アヴァルティル様?」


 はっ!


「あの……大丈夫でしょうか?休まれた方が……」


「あ……いや……ごめん、考え事してた!」


 その言葉を聴き、リアさんは「でしたらよろしいのですが……」と不安げに呟く。


 ……この世は残酷だ。それでいて美しいのだから尚更タチが悪い。毒のあるバラのような存在だ。

 とにかく、現状をどうにかしたいのであれば世界権力者をどうにかする。


 それでどうこうなるものでも無いけど、目標は出来た。



 でも、やり方が分からないなぁ……ボクは話し合いなんて出来ないし、待ってたらリアが死ぬ。


 殺す?殺すか?

 それがいいかもしれん。

 善は急げだ。とりあえずリアさんと契約しよう!で、リアさんと一緒に権力者を殺し、空いた穴にいい感じの人が来るまでずっと殺し続ける!!


 そうしよう!!!それがいい!!!!


「よし!リアさん!」


「さん……あ、いえ、どうされましたか?」


「契約!しよ!!!」


「それはまた唐突な……理由を聞いても?」


「権力者全員ぶっ殺して総入れ替えして不幸な人を減らす為!!!」


「それはまた……お言葉ですが、言葉で更生させてもよろしいのでは?」


「むり!!そんな高等テクニック、ボクができない!!」


「……私がやりましょう。そもそも私は参謀のような仕事の方が得意ですから」


「んじゃまかせた!!!」



 りあさんさまさま〜!!!!!



───────────────────────




「ということで」


「はい」


「リアさんと契約します」


「さん付けやめてくださると嬉しいです」


「リアと契約します」


「ありがとうございます」


「やり方が分かりません」


「奴隷契約でしょうか?」


「リアを奴隷にしたくないです」


「であれば契りでしょうか……」


 む、知らない単語


「契りとは?」


「いわゆる契約書の強化版みたいな物です。奴隷契約よりも軽く、契約書よりも安全という便利なものですね」


 ふむ?


「契約書はあくまで書類なので確実に安全とは言い難いですが、契りはその人の血にルールを刻み込むため、【攻撃禁止】という契りを交わせばお互いに攻撃出来なくなります。 奴隷契約はご主人側はどれ位を攻撃できるのに対し、奴隷側は絶対に逆らえないと言う感じですね」


「なんか……随分とご都合な……」


「いわゆる神魔法と呼ばれる物ですね。神へと至る事の出来る者、もしくは神が創造した魔法です。 契りは"契約と絶対の神"が創造した魔法らしいですよ」


「ほへ〜……」

 1を聞いたら10で帰ってきた……。


 えっとつまり、奴隷契約並の束縛性があるのに軽さ的には契約書と同等ってこと……?



 

 あ〜……ん〜……よくわかんないや!!!!



 【あとがき】

 すみません!!!すみません!!!寝ぼけながら書いてるので色々おかしいです!!!すみません!!!すみません!!!ゆるして!!!!!!!!

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死天使は今日も生きる。 朝霧 命/みている。@休止中 @nowarian

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