何度でも何度でも何度でも呼ぶよ「あなたのことが大好き‼」声が涸れるまで

恋愛ものやタイムリープものと思わせた現代ファンタジー。
どんでん返しがあり、意外性のある作品。
とても面白い。
読み終わってからもう一度読んでみたくなる。

セミが効果的に使われているところがいい。
セミはパートナーを求めて、地上に出てきた短い時間を啼き続ける。
エリサが夏凪カナの隠し事を話すとき「蝉の声は聞こえない……」のは、この日の深夜零時にリセットされるから、蝉の声はしなかったのだ。

ケイはどうして、何度も告白するのか?
一目惚れしたことを体が覚えているから、ケイは何度もカナに告白するのだろう。
手を繋いだり抱きしめたり、スキンシップを測ってきたと考えられる。
それらの経験が体に残っているから、リセットされても告白するのかもしれない。

神の怒りや呪いを受けるのは、信じていたものが裏切るからだと思う。
悪いのは教祖であって、教祖に悪用された神は悪くないのだ。
神もまた、被害者だったのだろう。
いわれなき怒りをぶつけられたから、神はカナに呪いを与えたと思われる。
リセットを止めるには、神社の祭壇を直してお供え物をすればいい気がする。

リセットされない部分を増やし、夏が終わるまでに神の呪いを解いてハッピーエンドになったら素敵だと想像する。