猫が、鳴いた。

作者 雪屋 梛木(ゆきやなぎ)

113

41人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

人類が皆永い眠りについてから数年、今アパートの中で動いているのは眠ったままの人間の世話をするロボットたちと、かつて人間たちに飼われていたペットたちだけ。そんなある日アパートの中で、一人の人間が殺されてしまう。その人間のペットだった猫のオモチが嘆くので、隣人(?)の猫のミケはその犯人(?)を探し出すことに。

喋る動物たちが殺人事件の推理をする本作品。見つけた手掛かりをヒントに、猫や文鳥や蛇がああだこうだと言いあう姿が何とも可愛らしい。動物たちが喋るというファンタジー要素はあるけれど、トリックに超常的な要素はなく動機もしっかりしていて、読者に真相の推理が可能な推理小説として成立しているのも嬉しい。

ミステリーとしても良くできているのだが、やはり本作の何より良い部分は人間がいなくなった世界で動物たちだけが起きているという世界観である。飼い主が眠りっぱなしのアパートに動物たちが残り続ける理由も良いし、動物たちがおしゃべりするという可愛らしい設定を導入しているからこそ、ラスト二行の物悲しさが大変際立つ。


(「さまざまなペット」4選/文=柿崎 憲)