第2話 魔王会議

ドドドドッドッド

森に近づくにつれ、辺りが暗くなっていく

空気もどんよりし、魔王が住む洞窟とか城とかって感じがする。

「っで?オニガワラさん外で待っててと言ったら待っててくれますか?」

隣に座っているドーアが少し強気に聞いてくる

「ドーアさん、人間がこんな所で一人でいても大丈夫ですかね?妖怪大戦争ばりに危なそうなんだけど」

クックの背中から辺りを見渡す

人外?の種族ばかりだ。

「妖怪大戦争?はよくわかりませんが、、どっちみち危ないですよ?まぁクックの尻尾に掴まって来た人には危険なんかわからないでしょうが」

ドーアさん顔を膨らまし怒った顔をする。

か、可愛い

「いや、なんか流れで?一人は寂しかったし、、ハハッ」

「何がハハッですか!魔乗犬のトップスピードは【ビースド】に並ぶって言われてるの知らないの?バカバカバカ!!」

「ビースト、獣の事かな?かな、、まー僕もなんで手が離れなかったのか不思議なくらいには今手が震えていますけど。」

「オニガワラさん頑張りましたねーって言うわけないでしょ!まったく、、はぁー」

ドーアさんが呆れた声で話してくれる。

森の中を猛スピードで走るクックの背で

「おいおい?なーんで弱小国がここにいるのかなー?」

目の前にクックと同等のサイズの狼の顔をした獣人?がいきなり現れる

「あ〜お久しぶりです〜誰が弱小ですか〜?巨人族様〜」

「クックック 我らを巨人族だとぉ?クックック、く、ぐ、た、だリャ〜誰が巨人族じゃぃ!!おまいら人族と並べるんじゃねー!!小人族がャー」

歯を剥き出し、吠えるオオカミを見てクックの上で腰を抜かす。

「スンスンッ ククッいつもより人族くせーと思ったらな!アッドレア!!お前魔王会議に人間連れてくるなんてなー?」

「ロロ様〜この人間は捕虜としてメア国に移送中なのですよ〜そんな目で見ないでくださいよ〜封印しますよ?」

「あー怖い怖い。魔女の使いっ走りがいい気になりおって。我ら準魔王軍団 序列2位に楯突くのは天使族かお前らくらいだぞ」

「序列なんか〜今は関係ないんじゃないですか〜?人族が抜けた今、魔王は討伐される対象なのお忘れで〜」

「ロロ いい加減にしろ 魔の聖地だ」

野太い声と共にロロの横にオオカミ顔が現れた。

ロロと呼ばれた巨獣族の隣に目に大きな切り傷を持ったオオカミ顔が現れた

「あらあら〜ララ様〜お久しぶりです〜」

「メア国 アッドレーアか また会えて光栄だ。会うたびに敬語に戻る癖も相変わらずだ」

「そうですね〜小人族の挨拶みたいなもんだからしょうがないでしょ〜、所で〜貴方も来たのですね〜」

「もちろんだ さぁ魔王会議だ 行こう」

そう言って立ち止まると、森の中に小さなテントが見えた

「オニガワラさん待っててくださいね。クックの近くにいれば大丈夫ですから。【フライ】」

ドーアさんが、目の前からいなくなり周りの空気が重くなる。

ララと呼ばれたオオカミ男とドーアさんがテントの中に入っていく。

「おいおい!人間!どうだいこの魔物に囲まれた感覚は」

ロロがクックの横に座って話しかけてくる

「はーぁ なんで魔乗犬が人間のお前を乗せてんだ?」

「ブルブルヒィー」

嫌そうにクックが鳴く

「警戒心はMAXじゃねーか、、おい人間 おめー見たいな奴がなんで捕虜に?しかもあの扱い気に食わねー」

ロロが歯を剥き出し唸る

ここまで敵意を感じると、顎がガクガク震える

「ガーハッハッハ!怖いか人間族!兄貴がいなかったらお前何か、、、感謝しろよな!」

「ありが「ブヒィー!!!」

ロロに向かってクックが吠える

「なんだ?飼い犬の分際で一丁前に歯向かう気か?」

そう言いながら腰に刺してある槍をこちらに向けてくる。

「クックありがとう俺は大丈夫だよ」

逆立った毛を撫でて落ち着かせる

「ロロさん、僕は鬼瓦って言います。宜しく!」

「なんだビビリ、、、まぁ良い兄貴が戻って来た時怒られるのも嫌だしな」

そう言って再びクックの横に座る

ロロって奴、嫌なら遠くに行けば良いのに、、ここまでやられそうな雰囲気なのに意外と

友好的なんかな、いや流石にな、、

「なんでロロさんは魔王会議に参加しないんですか?」

少し嫌味に聞こえたら嫌だけど、、

「あぁ?兄貴がいくのに会議まで出しゃばったら、兄貴に迷惑だろうが」

そう言いながら、脇腹を撫でる 少し赤くなっている

「それ人間魔王会議ってのはな!、、、、っち、人間ごときに話す内容じゃーねーなぁ」

「そっか、ありがとう、ロロは意外と優しいな」

言いながら、ロロを見ると少し尻尾がうごいたのが見えた。

こいつ、ちょろい?

ッドッゴオン

「なんやなんや?人間臭いおもたら、犬族も並んどるやないか」

クックの目の前に、大きな砂埃と共に大きな耳をつけた人間が着地した。

「っち、ネズミの分際で派手な登場しやがって」

「あいあい、魔王候補でもないお前が楯突くんかいや?あっ?」

「それなら、早やくいけよ。ドブ臭くて敵わん」

ロロが反抗しないのにびっくりするが、目の前には15、60センチくらいの耳の大きな灰色の髪の子がいた。

「減らず口が減らんあたり、ララの奴とは全然違うやん」

手を振りながらテントに入っていった。のを見て、

「ロロさん!?あんな可愛い子も魔王候補なんですか?」

「あん?あのオウキが可愛いってのか?」

初めてロロがこっちを見た、、気がする

「オウキが可愛い?ップギャハハハハ」

ロロが腹を押さえながら笑う

「ブッブッブ」

足元のクックからも、やめとけ的なことを言われてる気がする

「なんだよ二人して、可愛いけどな」

「俺は、見た目わ分からねーがあの魔力臭くて敵わん。物好きしかおらんだろ。」

鼻をつまみながら、ロロは臭いアピールしてくる

「魔力の匂いなんか分からんから、良いと思うけどな」

ずーっと笑うロロを見て少し、イラっとする

っと、ロロがいきなり武器を手にし身構える

「どうしたんですかロロさん?」

「黙れよ人族」

クックも立ち上がり、辺りの匂いを嗅ぐ

少し緊迫した中、白いスーツ姿の男がテントの方へ歩いてくる。

「なんでてめーがここに来てんだ!!ルシ」

ロロが槍を白スーツの男に向けて、叫ぶ

「ブフゥーブフゥー」

クックも臨戦態勢に入る

「久し振りじゃないか。お前ら会いたかったぞ」

クックとロロの緊迫状態に程遠い落ち着いた声質に、少し安堵する

「おっ?ククク人間か、天使のルシと言う。何かあったら相談したまえ」

そう言い、お辞儀してテントの方に歩いていく

「ロロ、感じのいい人だったね。」

「何言ってんだ、お前生皮剥がされてあいつに着られるぞ?天使って言われてる奴らは、本当に気味が悪い。」

ガッギャーン

激しい金属音が鳴り、ロロが目の前から一瞬で消える。

「ケハハハハ 獣が馴れ馴れしく、ルシ様に武器を向けてんじゃねー!!ケヒャヒャ」

ロロがいた位置から声がする、が何も見えない

「ブールブール」

クックの唸り声と共に、あたりに青い光が地面に広がる

「魔乗犬が一丁前にこっちみやがってケヒャ」

ドォン

青い光が衝撃で少し揺れる

「ッケ なかなか硬いな。まぁ、あの獣で勘弁してやるかケヒャヒャ」

「勘弁してやる? 天使族が不意打ちでいい気になってんじゃねーぞ!!」

ロロが声のする方に一瞬で距離を詰め、槍で薙ぎ払う

「クキャッ」

「ロロさんかっこよ!!ってかこの青いカーテンみたいなの、クックが出したのか?」

「ブッブッブ」

少し嬉しそうなクック

「おい人族!俺様もこんなもんじゃーねーぞー見とけ!!戦技【狂戦士】】」

ロロが吠え、体が少し太くなるのが分かった。

巨体のロロが槍を地面に突き刺す

大木ほどの槍が地面に刺さり、周囲の地面が凹む

「おいおいおい!どうしたどうしたこんなもんかぁー!?おいおい!!」

槍を地面に刺すたび、緑の液が周囲に飛び散る

ドォン ドォン ドォン

ロロは目を赤くし、槍を何度も何度も突き刺す

「クックあれいつ終わるんだ?」

「ブールブール」

青薄いカーテンが濃い青に変わっていく

明らかに、魔法?の結界を強くしているクックに、ロロの【狂戦士】って言葉を思い出し嫌な予感がする。


「クフゥークフゥー」


ロロの息が上がっていく、ロロと凹んだ地面に緑の液体が飛び散り、先ほどまでの声の主が、やられてるのがわかった。

「そこまでにして頂きたい。」

ロロの前に白スーツの男が歩いて来た。

「はぁ、これだから獣は嫌いなんです。」

イケメンでセンター分けの黒髪スーツ男は鼻をハンカチで抑えながら、ロロの振り上げた槍の前に行く

「あいつ、あぶなっ!」

振り落とした槍は、音もなく男が上げた手で動きを止められる

「!?」

「やはり、下界はしょうもない。期待した私がダメなのか、いや同胞をこの下界に?ふむ、しょうがない。戦死したと言っておこう」

動かない槍を捨て、ロロはスーツ男クゥに殴りかかる

「あまり暴れるな 神に失礼だぞ 戦 魔【暴風】」

赤い光が見え次の瞬間、ロロは目の前から消えていた。

「ロロ!!大丈夫か!」

「そこの人間さん 神の裁きはいつも平等です。私は神の代弁者なのだから。戦技【完全支配フルコントロール】」





「らさん ガワラさん! オニガワラさん!!」

可愛い声に目を開く

「良かった〜こんな森の中で寝るなんて、きあいだけはありますよね」

クスクス笑う可愛い子が目の前にいた。

「なんだ 夢じゃなかったんか」

「ドーアさん、、ここは?」

「何言ってるんですか?始祖の森最深部ですよ」

名前にぴんとこない顔した俺に、ドーアさんが少し考えて答える

「オニガワラさん えっと魔王会議の開催地ですよ」

辺りはすっかり明るくなり、おどおどしく暗い森だったのが、すっかり明るくなっていた。

「クックに感謝だな、ずっと俺の近くで守ってくれてたんだな」

「ブー」

さっきまでの戦いが信じられない程平和な世界に感じる


と言っても、乗っている怪物、浮いている小人で異世界に来てしまったのは、嫌と言うほど痛感される

上機嫌なドーアが肩に乗ってきて言う

「オニガワラさん 魔王会議終わったんで、これからどうします? 人間の国に送ってメア国行こうと思うったのですが、魔王会議の場所分かる人間ってどうなのでしょう?」

「そう言われても、俺この世界あんまり分からないんだよなー」

そう言いながら、悩むフリをする

「そしたらメア国どうですか?多種族からなる国ですし、人間族に恨みがある子が多い気がするけど、オニガワラさんなら大丈夫ですよ!」

「なんか嫌な言い方な気がするけど、ドーアさんしか頼れないから上手いことお願いしますね」

 肩の上で足をパタパタさせるドーアが、レッツゴーとか機嫌よく言っている


 しばらくクックが走る。放たれた矢のように走る。

 森を抜け、草原に出る。

 一人の時はただただ広い景色に感動していたが、クックの背中から見ると、色々思い知らされる。

 肩の上でうとうとしている可愛い眼鏡の小人に相談する

「ドーアさん?」

「ヒャイッ!? どうしたんですか!?」

「そんな驚かないでも、、あのさ?ドーアさん。 この世界って面白いね。」

肩の上でドーアが少し困惑するのが分かった。

「あのさ、俺実はこの世界とは違う世界から来たんだよね」

「なっ!!えええええぇぇ!!?」

 肩から転げ落ちるドーアと耳がキーンとして目がチカチカした。

「世界が違うって、まさか!い いせ 異世界転生者!?」

 目の前でチラチラうくドーアを見ながら

 「はっはっは そんなに驚くことなんだね。って言っても、特に能力とかはないと思うけど」

「何を言ってるんですか! 異世界転生者って言うのは、この世界の破滅と希望をもたらす存在なんですよ?」

 ドーアは先より慌ただしく飛び回る。目がまわりそうだ

「破滅と希望って言ったって、僕なんか一瞬で殺されそうな魔族ばっかですよ?多分そんなの一握りですよ」

「うーん そんな事言ったって、過去で魔王サムライ・魔女チキュウ・魔王シュガー、とかとか世界に影響を与えたものは、大体異世界転生したと言いていたとか、言ってないとか」

「曖昧だな、聞き馴染みある名前だけど」

「あーなんで早めに教えてくれなかったんですか?魔王会議でも魔王がメア国から!!、、、いやすいません」

少しキレ気味なドーアに圧倒されそうになる。

「いやいやいや、ドーアさん!魔王なんて僕には荷が重いですよ!!」

「いや、、そうですよね。まぁ、次期魔王はもう決まったようなものですが。」

「あれ?魔王っていないんですか?」

ポカーンとするドーアが少し時間を空けて、頭を叩く

「あっちゃー!そうですね、オニガワラさん 異世界転生したのだったのですね。少し長い話になりますけど、話しますね?」

 そう言うと、おっほん!とわざとらしい咳払いをし、メガネを少しあげ話始める。

「この世界はですね、いろんな種族の生き物が住んでいる世界です。私達小人族だったり貴方達人族などですね。魔王会議に来たような方達も、、本当に種類は多いんですよ」

「確かに、でも大体人間のような姿の人たちが多かったな。」

「オニガワラさん、口を挟まないでください!私達メア国に伝わる話では、人間とは魔に嫌われし、魔ならざる者 非魔族ひまぞくと言われていて、主に神や天使などから力を借りていました。なので大きく分けると、器に魔が入れば魔族、器が空なら神族と言われています。」

 (ってことは、魔力がなくても神や天使に頼めば、何か力が使えそうじゃん!やっとこの世界で俺つえー!ができるのでは?)

「異世界人は圧倒的な戦技せんぎで歴代魔王魔女になったのですが、オニガワラさんは?」

「戦技?ロロの狂戦士とか、ルシって奴の完全支配とかかな。どうやって使うんです?」

 大口をあげて、驚くドーアさん

「使い方って言われても、それぞれ違うからなーちなみに私は【多重詠唱】って言うの、戦技ってのは種族固有の能力からの派生が大体かな、私達小人種は魔法に関する能力になるんですが。」

 「戦魔【フライ ウォーター】」

 ドーアさんは詠唱し、光に包まれる。と同時に、目の前をフワフワ飛びながら水を撒く

「どうですか?二種類の魔法を同時詠唱ですよ!綺麗な虹だって作れてとても便利なんですよ!」

「あの少し濡れてきたん出すけど?まぁ戦技は何か僕もできればいいんですけど。」

「オニガワラさんの戦技はおじぃ様に聞いてみるとしましょう!」

 ドーアさんが肩に当たり前のように座ってきた。

「おじぃ様?」

「そうです!私のおじいちゃんにして現メア国国王!チャフュです」

 少し声が嬉しそうなドーアさんとクックが「ブーブー」と上機嫌に鳴きながら草原を走っていく。

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魔王になって【仲間になれば世界半分貴様にやる】とドヤ顔で言ってみたい! 〜YESと言われる前に世界を征服せねば〜 @Jingiskan33

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