自然とSFの融合した島を舞台に、鋭敏な五感が陰謀を探り出すミステリー!

主人公、神野真見(かんのまみ)は五感が鋭敏で直感も鋭い少女。
その特性ゆえの悩みが生活にも表れており、音が聞こえすぎるため常にイヤホンをしています。
こうした細かな描写が、設定だけでなく生きた人物であることを実感させてくれます。

真見が近未来都市化されている命島(めいじま)に父親の浮気の調査を母親から頼まれ(ここも面白い設定!!)、フェリーで訪れるところから物語は始まります。
しかも、いきなり冒頭で事件が起き、そこから興味を引かれるなどストーリーも練られていることが分かります。

本作の特筆すべき点は、舞台が自然溢れる島でありながら近未来的なSFの世界観だということです。
美しい海の描写がある反面、買い物は顔認証で金銭が自動的に引き落としされる、バーチャル世界と繋がることのできるゲームが開発され、それが重要な存在になるなど作りこまれたSFの世界を堪能することができます。

島で連続する怪事件と命島を近代化する企業セル社の陰謀、真見の父親の浮気調査。
緻密に考えられた人物設定、陰謀を解き明かしていくミステリーの骨組み、物語を彩るSF要素など見所満載の本作を読んで楽しめること間違い無しです!

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