最終話「光一の日記(5)」

 二〇二五年六月六日


 未来が変わった。


 現在が——変わった。


 姉さんも悟郎ごろうさんも、今は五歳となった夢月むづきも健在で、そして自分と、十七歳の夢月もだ。


 もちろん、修正機関〈リライト〉の脅威が消えたわけではない。黒乃くろのの言葉を信じれば、これからも新たな敵が現れるということになるのだろう。


 自分が——狭間はざま光一がイレギュラーである限り。


 そして時を越えてやってきた夢月も。


 だが、突きつけられた現在を乗り越え、未来を勝ち取った。


 泣きついている姪をあやしてやって、涙目で彼女はロウソクの火を消した。


 そして——笑った。俺の一番、見たかった笑顔だ。


 パーティーの最中、夢月が引っ越ししようよとか言い出した。確かに、いつまでもチェアーで寝ているのはしんどい。この子のための部屋も作ってやりたい。それに、新しいプラモを置くスペースもあるといい。


 こんな風に先のことを考えるのが楽しいと思えたのは、どれぐらいぶりだろう。


 今は。そう、今だけは——


 新たな未来を築けたことに、感謝しよう。

                             完

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追憶の、ヨルワタリ 寿 丸 @kotobuki222

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