長じてみれば不条理なようにも思える自分の振る舞い

 高校三年のときの初恋の人と、同窓会で再会した男性のお話。

 うわーっ主人公! お前! なんてことを!
 甘酸っぱくて切ない青春の物語。なんかもうすっごいやきもきさせられて、いろいろ揺さぶられてしまいました。

 後悔、と言ってはちょっとニュアンスが違うのですけれど(それを悔いているかどうかは彼にしか決められないので)、それでもあえてざっくばらんにまとめてしまうなら、ある種の失敗談のようにも見えるお話です。

 個人的に、自分なら彼のようにはきっとしない、という意味での「わからない」があって、でもそこにものすごく説得力を感じさせられるところが大好き。
 総体としては自分もわりとこんな感じだったというか、こういう「今となってはいろいろ残念な自分の行動」みたいなもの自体は、もう痛いくらい身に覚えがあったりするんですよね。
 わからないけど、そのわからないこと自体に感じる「とてもわかる」感。
 矛盾してますけどそんな感じ。伝わって……。

 何かすっかり忘れていた古い傷跡を、ちくりと刺してくるような作品でした。人によっていろんな感想がありそうなとこも好き。