雷雲と天の川が、逢瀬したとして

篤永ぎゃ丸

落雷と銀河

 七月七日──離れ離れの織姫と彦星は、年に一度だけ天の川を渡って会う事が出来る。七夕伝説って奴はなんてロマンチックなんだろう。


 そんな日に夜空を見上げてみれば、星どころか月も見えやしない。視界に入ってくるのは、曇り空。そして冷たい雨。挙げ句の果てには、落雷だ。


 不思議とこっちの方が、見ていてロマンチックに思える。この悪天候の向こうに、満天の星がある。雷鳴がより強く、イメージを盛り上げてくれる。


 嫌われ者の雷雲と、輝かしい天の川がこうして綺麗に並ぶ。これだけで、楽しいじゃないか。欲望を羅列した紙っきれを、笹の葉にさらさら並べるより、よっぽど有意義だ。


 天の川が綺麗に見えるのは、暗黒星雲があるから。星なんて、ただのキャンパスにしか過ぎない。天の川の主役は雲だぞ、雲。


 でも人々は満天の星に心を奪われ、物語を空想する。白紙上の星に、人は都合良く何を見出しているのだろうか。


 七月七日──世界でただ一人、空に祝福するとしよう。今年、織姫と彦星は会えないんだね……そう勝手に残念がればいい。それでも会えるんだよって解釈で、自己満足してりゃあいい。



雷雲と天の川が、幸せでいられますように。

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