消えたアスフォデルスの一生

作者 ともい柚佐彦

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★★ Very Good!!

稀代の天才女魔術師『アスフォデルス』は、思わぬ失敗が連続した結果大爆発を起こしてしまい、住む場所も美しい容姿も魔法使いとしての力も失ってしまう。その矢先に偶然出逢った三人の冒険者達と共に、失った全てを取り戻すため『不凋花の迷宮』を目指す――。

『現実ではない異世界』『冒険者』『迷宮(ダンジョン)』という要素を取り扱っている作品ですが、昨今主流のゲーム的なライトファンタジーではなく、むしろ古き良き原義的な『ファンタジー作品』という印象でした。
重厚な世界観を感じられる魔法の細かいルールや、冒険者として生きるための知恵やダンジョンの攻略法、契約に関する彼此など、物語の設定が緻密に緻密に構築されており、非常に読み応えがありました。
しかし重苦しくて読みにくい作風かと聞かれればそんなことはなく、自信家でナルシストだったけど身体が縮んで苦労するアスフォデルスを筆頭に、個性的なキャラクター達によるユーモアや軽快さを感じられる掛け合いも魅力的で、実に読みやすかったです。
主要な登場人物達は『魔法使い』や『剣士』『盗賊』などといった風に分かりやすくカテゴライズできますが、それぞれの過去には重いものを抱えているようで、表面的な『キャラクター』ではない、その世界に住まう『人物』としての深みや厚さもあったのが良かったです。
作中の世界、設定、人物、戦闘の描き方がどれも秀逸で、それらは巧みな文章力によって綴られているのですが、自分の貧弱な語彙では的確に言い表せないくらい、『詩』的とも感じられほどに素晴らしい表現力や文章でした。

ただ物語的な部分では文句ナシですが、『Web小説』という観点で見ると、1ページごとの文章量が多いために、長文に感じて内容がスッと頭に入ってこない読者もいるかもしれません。
場面と場面の合間で分割できそうな『切れ目』はいくつかあったので、もう少し『Web小説としての読み… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

 高名な魔術師・アスフォデルスが全てを失い、そして、失ったものを取り戻そうとする物語。
 過去の経験から、特に容姿にこだわりを見せる彼女。偶然出会った冒険者と共に、自身にゆかりのあるダンジョン攻略を目指す…。



 三人称で描かれる物語は硬派、というよりはある種文学作品に近い、丁寧な文体で描かれます。情景についてはもちろん、異世界ならではの単語、背景についてもきちんと語られる。魔法やダンジョンなどについて知っていることが前提の作品が多い中、成り立ちや仕組みを含めてきちんと語ってくれるため、読者である私の知識に依存することなく安心して読み進める事が出来ます。
 しかも、地の文だけでなくキャラクター同士の会話などにも説明が分散されている。そのおかげで、くどいと言った印象は受けず、順調にこの物語の世界観を脳内で築き上げられるため、グッと異世界に入り込むことが出来ました。

 そうして丁寧なイメージが出来ているため、そこで会話しているキャラクターたちの個性も引き立って、生き生きと感じられます。
 例として語るべきはやはり、主人公でしょうか。高飛車で自信家なイメージなのかと思えば、暗い過去からくる地の性格も垣間見えて、そのギャップが魅力的で憎めない。世間一般で勝手に作り上げられたミステリアスな雰囲気と、彼女本来の人となりの差もまた、絶妙です。

 1人の人間を様々な視点から描写し、生かす。主人公含め安易なキャラ付けだけで済ませず、話して動いて、戦って…。その1つ1つに個性を魅せてくれ、惹きつけられる。まさしく本作最大の魅力と言えるでしょう。



 ダンジョンを攻略した先。主人公は失った物を取り戻せるのでしょうか? もちろん、その過程で得た“仲間”。彼らとの関わり合いの中、自らのコンプレックスとどのように折り合いをつけるのか。

 脳内で丁寧に作り上げられる重厚な世界観で、躍動す… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

主人公がコーディネートした自分の姿を取り戻すために凄腕のパーティを雇いモンスターを倒しにいくというスタイルのお話しです。
挑むダンジョンの難易度はとても高いのですが、出てくるモンスターをパーティメンバー達が格好よく倒していきます。

ダンジョンを攻略していく過程の中で主人公にいろいろな感情が生まれていきます。
現在投稿されているエピソードまでは、戦闘シーンが多めではありますが主人公の活躍はありません。
主人公の活躍する姿は15話以降でしょうか。無双をする予感がします。

ダンジョン攻略物が好きな読者様にお勧めします。
一読してみてください。