短編:美月
Take_Mikuru
美月
◯教室・中・昼
永束悠馬(17)が水道の前で3人の屈強な男たちに体を抑えられている。永束の前には大きなバケツがあり、その中に大量の水が入れられている。バケツから水が溢れ出してきた段階で、永束は思いっきりバケツの中に顔を突っ込まれる。永束はこの上なく苦しそうに、激しく抵抗するものの、状況は全く変わらない。少し経った後、永束はバケツから引き上げられる。永束は激しく呼吸をし、酸素を取り込んでいる。
竹澤「もっと」
竹澤美月(17)の声だけが聞こえる。
屈強な男たち「ハイっ」
屈強な男たちは再度永束を思いっきりバケツの中に突っ込む。永束はこの上なく苦しそうにもがいている。少しすると、永束はバケツから引き上げられる。永束は酸素を取り込もうと必死に呼吸している。
竹澤「もっとって言ってるでしょ」
また竹下の声だけが聞こえる。
屈強な男たち「ハイっ、すみません」
屈強な男たちは再度永束を思いっきりバケツの中に突っ込み、今度はより長時間永束を抑え続ける。永束は激しく腕を振って抵抗し、この上なく苦しそうにもがいている。永束が限界を迎え、水を吸い込んでしまったところで永束は引き上げられ、激しく咳をしながら必死に酸素を求めて呼吸をする。竹澤の足音が近づいてくるのが聞こえ、屈強な男たちは竹澤の方に永束を向ける。永束は下を向きながら必死に呼吸している。竹澤は永束の目の前で立ち止まる。屈強な男1が永束の髪を掴み、永束が竹澤を向くように思いっきり引き上げる。永束は痛そうに竹澤を向いている。
永束「たけざわさん?」
屈強な男2が思いっきり永束の顔面を殴る。
竹澤「私の名前を呼ばないでもらってもいいかな?」
永束は痛そうにしながら竹澤を見ている。屈強な男2はまた思いっきり永束の顔面を殴る。
竹澤「返事」
永束は激しく呼吸しながら竹澤を見ている。
永束「はい」
竹澤「じゃあ、早速本題に移るわ。どうやら、あなたは私のことが好きのようね?」
永束「、、、、、」
屈強な男2が思いっきり永束の顔面を殴る。
永束「、、、はい。好きです。ずっと、竹澤さんのことが大好きです」
屈強な男2が思いっきり永束の顔面を殴り、思いっきり永束のお腹に膝蹴りをする。永束はこの上なく苦しそうな表情で唸る。
竹澤「だから、私の名前を呼ばないでくれるって言ったよね。バカなの?」
永束「、、、、」
屈強な男2は思いっきり永束の顔面を殴る。
竹澤「返事」
永束「、、、、はいすみません」
竹澤「・・・やっぱり好きだったのね。梨沙子と咲にずっと言われてたのよ。あなたがずっと私のこと見てるって。特に夏服の時はそれはもう舐めまわすように私の体をジロジロ見てるってね」
永束「、、、はい、ずっと見てました。すみません」
竹澤「まぁ、私のことが好きなのはしょうがないわ。この3人だって私の虜だし。他の男子だって、あなた程露骨じゃないにしても、ジロジロ私の脚を見てるわ。ヤリたくなるんでしょ、私見てると」
永束「、、、はい、とんでもなく、ヤリたくなります」
屈強な男2が思いっきり永束の顔面を殴る。
屈強な男2「テメェなんかにはヤらせねーよ!」
竹澤「おい、それは私が決める」
屈強な男2は竹澤に頭を下げる。
屈強な男2「すみません」
竹澤「お前は今日はなしだ。オナニーでもしてろ」
屈強な男「はい、、、すみませんでした」
屈強な男2は悔しそうに唇を嚙みしめている。
竹澤「それでだ、そんな私とヤリたくて仕方がない君にまたとないチャンスだ。今日から私の使いっ走りになるって言うのなら、ヤラせてあげてもいいぞ」
永束「、、、使いっ走り?何をすればいいんですか?」
竹澤「お前、サッカー部の佐藤俊介と仲良いんだってな」
永束「、、、はい。幼馴染なので」
竹澤「そうか、それはいい。佐藤に私のいい話をして欲しいんだ」
永束「、、、いい話、ですか?」
竹澤「そうだ。佐藤が私のことが気になるような話をして欲しいんだ」
永束「、、、分かりました。それ以外に何かありますか?」
竹澤「いや、ない。お前にはそれだけだ。それこそが重要なのだ」
永束「分かりました。佐藤に興味をもってもらえるように話せば、僕はヤってもいいんですか?」
竹澤「ああ、そうだ。私の体は一時的にお前のものになる。使いっ走り成立でいいか?」
永束「、、、はい、是非、よろしくお願いします。」
竹澤「おお、こちらこそだよ。お前ら彼を離せ」
屈強な男たちは一斉に永束を離す。
永束「ありがとうございます。そうしましたら、その、ヤるのはいつになりますでしょうか」
竹澤「後だ。佐藤と私が上手くいき始めた段階でヤらせてあげよう」
永束「、、、なるほどですね」
竹澤「不満か?」
永束「、、、すみません、ちょっと、、、」
竹澤「先にヤリたいのか?」
永束「、、、はい、、、僕も君のことが大好きなので、、、」
竹澤「ヤレるんだぞ?別にいいではないか」
永束「いや、さっきはそう思ったんですけど、君と佐藤が本気でお互いに夢中になってるとこを想像すると、やっぱり辛いものがありまして、、、」
屈強な男たちは永束を掴む姿勢になっている。
竹澤「、、、そうかぁ~。それは残念だ。それは非常に残念だ。私はお前など眼中にないのだからな。ヤラせてあげる気にしかならないのだよ。私の心を君には見せられない。私は佐藤俊介にだけ、私の心を見せたいのだよ」
永束「すみません、考えれば考えるほど君と佐藤には一緒になって欲しくないです。もうそんなに好きなら、自分から話に行けばいいじゃないですか」
竹澤「、、、?」
永束「だから、そんなに気になってるなら、人づてにアプローチかけてないで、自分から堂々と話しかけに行けばいいじゃないですか!偉そうにしてるわりにはクソビビリなんすね!」
屈強な男たちが一気に永束を掴み、身動き取れないようにする。
永束「好きにしてくださいよ。このクソっ走りども。僕はね、君の堂々とした姿が心底美しいと思ってたんだよ。だから本気で好きになった。でも今の君の姿を見て、印象が180度変わっちまったよ!」
永束は激しく呼吸をしている。
永束「もっと好きになったよ!あんた!めちゃくちゃ乙女じゃねーかよ!!!クソ可愛いよおい!!!あんたにだったら殺されても心残りねーよ!!!俺のこと好きになってくんね~んだったらもう殺してくれよ!!!君が人を殺める姿なんて、佐藤には一生見れないんだろうからよぉ〜!」
竹澤「、、、じゃあ、佐藤が一生見れない私を見せたら、使いっ走りになってくれるのか?」
永束「、、、え?」
竹澤「聞こえただろ!佐藤には恥ずかしくて見せられない私をお前に見せれば、佐藤と私を繋げてくれるかって聞いてんだよ!!!」
永束「、、、、」
屈強な男2が思いっきり永束の顔面を殴る。
永束「、、、そんなこと言われても、じゃあ、今すぐ僕を殺してくれるんですか?」
竹澤「人殺しなどできる訳ないだろ」
永束「ですよね。そしたら無理じゃないですか。使いっ走りは永久に不成立ですよ」
竹澤「・・・そんなことはない」
永束「え?じゃあ人を殺める姿以外に、佐藤に見せられない姿があるっていうことですか?」
竹澤「・・・ないと言ったらうそになる」
永束「あるんですか!?マジであるんですか!?」
竹澤はコクりと頷く。
永束「おおお〜!もう可愛い!!めちゃくちゃカワイイ〜!!!」
屈強な男2が永束の顎を物凄い力で掴む。
竹澤「離せ、奴は何も悪いことをしてないだろう」
屈強な男2は納得のいかない様子で永塚を離す。
竹澤「いいか、悠馬、これで使いっ走り成立だぞ」
永束「はい!お願いします!」
竹澤は目を瞑り、深呼吸をしてから目を開ける。
竹澤「ねぇ、俊介くぅん、あたしのことすき?あたしは大好きだよ?うん、宇宙で一番ちゅき!もうこんなにこんなに大ちゅき!!!ねぇ、ギューしてギュー!みづき寂しいぃ〜、お願い沢山ギューして、ギューーー、ギューーーってぇ!!!」
竹澤は突然動きを止め、顔を赤らめながら後ろを向く。
竹澤「これでいいだろ。これで使いっ走り成立だ。あと、このことは佐藤俊介はもちろん、他言無用だぞ、いいな?」
沈黙が続き、竹澤は永束の方を見る。
永束「・・・カ、ワ、イ〜イ!なんだよ今のぉ〜!!!もうヤバイんでけどぉ〜!!!!もうキュン死だよキュン死!!!てか、え?今のが俊介に見せられない姿!?あんた全てが逆なんだよ!人に見せるべきところと見せないべきところが真逆なんだよ!!!この高圧的で男勝りな感じ、マジでなんなんだよ!似合うけど、全然君の魅力が伝わってこねーよ!どう考えても君の魅力はそのクールなルックスと乙女な中身のギャップだろぉ!!!離せよ!!」
永束は、完全に伸びた表情でポカーンとしている屈強な男たちをもの凄い力で振り解く。永束は興奮した様子で竹澤に近づく。
永束「竹澤、お前はメチャメチャ可愛い。体を使って男を思いのままにするような奴じゃないだろ本当は。こんな脳筋どもなんか捨てて、その変なキャラも捨てて、そのままの、ありのままのお前を、もっと思いっきり出してみろよ!」
永束と竹澤はしばし見つめ合う。
永束「・・・そしてそれが、本当に言いたくないけど、佐藤俊介に興味をもってもらう、1番の近道なんじゃないのか?」
竹澤はずーっと永束を見つめている。
佐藤「僕と付き合ってください!」
上から佐藤の声が聞こえる。永束と竹澤、さらには屈強な男たちが一斉に上を見上げる。佐藤がテラスで女子生徒を前に頭を下げて、片手を差し出している。少しの沈黙の後、女子生徒が佐藤の手を取る。佐藤を頭を上げ、さらには空を見て思いっきり叫ぶ。
佐藤「よっしゃーーー!!!!!」
永束は恐る恐る竹澤を見る。竹澤はゆっくりと永束の方に顔を向ける。永束は深呼吸をしてから頷き、竹澤に向かって頭を下げ、片手を差し出す。
永束「大好きです!僕と付き合ってください!」
竹澤は永束をじーっと見つめている。屈強な男たちはその様子を見守っている。竹澤は唾を飲み込み、恐る恐る永束の手を取る。永束はハッと竹澤を見上げる。
竹澤「ありのままの私で、いいんだよね?」
永束はスッと上体を起こし、しっかりと竹澤の目を見る。
永束「それ以上の君はいないよ」
屈強な男たちが喚き始める。
屈強な男2「でも姉さん、僕らは常にビンビン、レディートゥーゴーですよぉ!?」
竹澤「もうそれはやめにすることにしたの」
屈強な男たちは涙を抑えながら立っている。屈強な男1がラットスプレッドをする。
屈強な男1「こういう時はバルク」
屈強な男2と3も後に続いてラットスプレッドをする。
屈強な男2、3「ひたすらバルク」
永束と竹澤は手を繋いだまま、優しい笑顔で見つめ合っている。
永束「行こうか」
竹澤「うん」
2人は空を見上げ、夕日に向かって走り出していく
短編:美月 Take_Mikuru @Take_Mikuru
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