23.静かな毒

「だめだめ、蓮美はぶきっちょなんだから」

言って明乃は、私の手から包丁を取り上げる。

炊事洗濯掃除、なにもかもを明乃に任せて三年。独りでの生き方が、そろそろ思い出せない。

「蓮美は、私がいないと生きてけないから」

わかってる。冷えた愛を繋ぎ止める、静かな毒なのだとは。

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文披31題に寄せて ~文月日替わり百合140字~ 五色ひいらぎ @hiiragi_goshiki

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