診断
長万部 三郎太
月に何度も
わたしは病識ある患者。
『どこも悪いところはないのに』と、現実を見ない他の人たちとは違う。
心配性だと友人は笑うが、わたしは至って真剣そのものだ。
事実、月に何度も診療に通っている。
しかし、担当の女医はいつも診断結果をはっきり言わず濁しているのだ。
今月もまた結局『病名』を告げずに、わたしをもやもやさせる。
「このままでは埒が明かない……」
ある種の不信感を抱いたわたしは、別の総合病院を訪れることにした。いわゆるセカンドオピニオンというものだ。
初老の男性医師はわたしの長い話を聞くと、しばしの聴診ののちこう告げた。
「残念ながら、難病を患っているようです」
わたしはその台詞が聞きたかったのだ。
ようやく“病人扱い”してくれた医師は、続けてこう話す。
「恋は盲目、とも言います。次は眼科に行かれてはどうでしょうか?」
(すこし・ふしぎシリーズ『診断』 おわり)
診断 長万部 三郎太 @Myslee_Noface
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