第18話 物作りに終わりなし!【終】

 次の日。

 朝からセミの声がにぎやかだ。

 アンジュのいなくなった家で、レオは今日も朝から工作にはげんでいる。


「ちょっとレオ! 何やってるの!?」

 階段かいだんをバタバタと上ったり下りするレオの様子を見に、母さんが台所から顔を出す。

「ん? ここに、荷物にもつはこぶエレベーターを作ってあげようと思って」

 満面まんめん笑顔えがおで答えるレオ。


「重い荷物を運ぶの、母さん大変でしょ?」

「あら」

 レオのやさしい言葉に、母さんはちょっとうれしそうだ。


 アンジュのために飛行機を作ってみてレオは思った。だれかによろんでもらえる物を作るって、自分の作りたいものを作るよりもずっとずっと楽しいって。


「でも、エレベーターなんてどうやって?」

 そんな物、簡単かんたんに作れるはずはない。いったいどうする気なんだろうとレオを見る母さんの前で、レオはドライバーセットとフック(物をつり下げるのに使う金具)を持って、キョロキョロした。

「さて、どこにフックを取りつけようかな」

 ゆかには、段ボールでできた大きなはこ滑車かっしゃとロープが落ちている。滑車というのは見た目はタイヤみたいなんだけど、ロープをかけるみぞのあるものだ。そこにロープをかけて箱をフックで家につりさげるつもりなのだ。


 レオのやろうとしていることを見てとった母さんは、とんでもないという声を上げた。

「ああ、レオ。気持ちはうれしいわ。でも家に変なものを取りつけるのはやめてちょうだい」

「ううん! 遠慮えんりょしないで! ぼく、母さんに喜んでもらえる物を作りたいんだ!」

「遠慮じゃなーい!」


 エレベーターはとっても役に立つ素晴すばらしい物のはずなのに、レオの母さんはどうもそうは思っていないらしい。


 母さんとレオが言い合っていると、玄関げんかんのチャイムが鳴り、学がやって来た。

「レオ、今ひまか?」

「いや、今はちょっと。エレベーター作ってるからいそがしい」

「何言ってるの、レオ。せっかく来てくれたんだから2人で遊びなさいよ。エレベーターはまたにして!」

 何としてでもエレベーターが作りたいレオ。なんとかエレベーター作りからレオの気をそらせたい母さん。


「いそがしいのならかまいません。実はぼくの祖母そぼこしを悪くしたので、レオくんの手もりれればと思ってったんですが」

 それを聞いた瞬間、レオの目がキラーンと光った。

「腰が悪いの!? それは大変だ! 重いものもはこべないし、エレベーターいるよね!」

「いや、エレベーターはいらないと思うが。ちょっと雑草ざっそうがひどくて」

「いるよいるよ、きっといる。じゃあ、ちょっと出かけてくるよ」

 レオは学の話もろくに聞かず、カバンに7つ道具を入れるとゴーグルを頭に装着そうちゃくして、あっという間に自転車にまたがった。


「じゃあ、行ってきまーす!」

 自転車に乗る学のとなりで、レオは2人を見送る母さんに手をふる。


 学のばあちゃん、きっと大変な思いをしてるにちがいない。エレベーター以外にも、役に立つ物をたっくさん作ってあげよう。いったい何を作ってあげたらよろこばれるだろう。

 考えるとわくわくした。


 レオの夏休みは、まだ始まったばかりだ。


★ここで豆知識!★ 【その5】

 ぼくもゴム動力飛行機を作って飛ばしたい! そう思った君へ。

 作り方がわかるなら自分で一から作るといいけど、作り方も材料もどうすればいいかまったくわからない! という人は、まずはキットを買ってみよう!

 材料と組み立て方の説明が入っているよ。もちろん、自分で作るのが難しいプロペラも、組みたてれば使える状態で入ってるよ。


 商品を探すときは、ゴム動力飛行機またはゴム動力プロペラ飛行機、ライトプレーンなどの商品名で探してね。ライトプレーンにはA級とB級があるけど、A級の方がB級より小さくて、初心者向けのものもあるよ。

 インドアプレーンと書いてあるものは、外で飛ばすのではなく、部屋の中で飛ばす用のものだよ。よく飛ばそうと思うと体育館くらい広い室内が適しているよ。

 外で飛ばしたいのか室内で飛ばしたいのか、よく確認して適した商品を選んでね。

 それから、商品によって、組み立てるだけでいいのか、材料を計ったり切ったり曲げたりしないとならないのかがちがうから、自分のできること、したいことに合わせて選ぼうね!


 外で飛ばす時には、広い場所で、電線やまわりに気をつけて飛ばしてね!



【おわり】

 

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飛べない天使が降りてきたので、飛行機作りをはじめました! 宮 都 @MiyaMiyako

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