犬にっき

空廼紡

第1話 初めによく出るであろう犬について

あまり呟いていないが、私はTwitterをやっています。

その中でたまにポメラニアンの写真をうpしています。


そのポメラニアン、うちの子ではありません。

私には姉が二人いるのですが、上の姉の友人の子です。


それなのにどうしてしょっちゅう、我が家にいるのか……。


「しょっちゅう家を空けているのかな?」


と、大体の人がそう思っていることでしょう。

しかし、それは違います。


理由は……






犬、我が家が好きすぎるから





そんな理由です。


犬って普通、飼い主が好きで飼い主がいないと寂しがる。そんなイメージがあります。実際に私の知っている犬は、ほとんどが他人の家よりも飼い主がいる家のほうが好きだし、飼い主が帰ってきたら喜びの舞を踊ったりしている。


けれど、このポメラニアンは違う。


今回はこのおかしなポメラニアンがいかにして、我が家が好きになったのか語っていきたいと思います。





ポメラニアンを預かるようになったのは、今から八年前のこと。


当時我が家は、愛犬の死の悲しみから抜けられずにいました。

もう二年、されど二年。悲しみは尽きることはありませんでした。


でもいい加減、犬がいないのは寂しかった。けれど、まだ犬を飼う勇気がなかった。


というわけで、そのポメラニアンに白羽の矢が立ったわけです。


理由はポメラニアンはドライな性格で、ホームシックにならないだろうのが一つ目。


当時は妹犬のゴールデンレトリバーがいて、飼い主もポメラニアンがいなくてさほど寂しくはないのが二つ目。

※飼い主も大事にしてくれるなら問題なし、と気にしないタイプだった


そして、いざというときに預かり先があると安心だし、ぶっつけ本番よりもお試しでお泊まりしたほうがもっと安心だというのが三つ目。


ぶっちゃけ、三つ目は建前です。飼い主は我が家の我が儘を快く受け入れてくれました。


で、初めてのお泊まりが始まったのですが、とても良い子でホームシックになる様子はありませんでした。


とくに問題もなく、長く預かれるようにと二回目三回目とお泊まりをしたのですが、変化が起きたのは大体三,四回くらいお泊まりした頃でした。


姉が他の友人達とポメラニアンの飼い主(以降Aさんとします)の家へ遊びに行ったときのこと。


友人達と話していた姉は、ポメラニアンが廊下に行きたがって、扉の前でカリカリ扉を掻いたり、くるくる回っているのに気が付き、姉は扉を開けました。


ポメラニアンは颯爽と廊下に出ましたが、ちらっと姉を見てくる。

何事かと姉が立ち上がり、ポメラニアンの後を付いていく。


すると玄関まで行く。


このとき姉は「外に行きたいのか?」と思う程度でした。


が、部屋に戻った姉を何度も玄関まで誘い出してはグルグルと回り、はてにはトイレに行った姉の後を付いて回り監視をする。


そこで姉は確信した。


「コイツ、うちんちに行きたいんだ」と。


で、あまりもウザいので折れるのが恒例になっていきました。


たまにその猛攻をはね除けて帰ってきたのですが、大体は事前に連絡なしに連れて帰り、またかよ、と我が家に呆れられ。


それを繰り返したせいなのか姉がAさんちに泊まると、姉の膝の上を独占して離れない。姉が立ち上がるとグルグルグルグルと回り、玄関へ移動して、姉をストーカーしてめちゃくちゃウザい。※姉談


最終的に真夜中、寝ている姉の上に乗って仁王立ちと言わんばかりに姉の顔を覗き込むように。


あまりにもウザすぎるので、姉がAさんちに泊まりたい、ゆっくりしたいときは事前に我が家に連れて行き、そのまま何日かいるようになり。


それを繰り返していくうちに我が家にいることも当たり前になっていき、最近はいつの間にか一ヶ月間いる時がたまにあったりと、なんだか奇妙な関係が出来上がりました。


ちなみに一ヶ月うちにいても、ポメラニアンはホームシックになりません。


それどころか、一ヶ月もうちにいても「さあ、Aさんちに帰ろうねぇ」と車に乗せるとめちゃくちゃしょんぼりとした顔をして己の運命を受け入れているかの如く、無言になります。


このポメラニアン、暑がりでいつも車の中ではヘッヘッヘといってますが、帰るときだけはヘッヘッヘ言わず終始無言になります。


けれど、最初は家に帰ると思って無言になってもいざ家に続く道に入らないと察した瞬間、ヘッヘッヘと目を輝かせます。


お前、これだからAさんにかわいくねぇと言われているんだぞ……Aさん、なんだかんだでお前のこと可愛がっているけど。


などと複雑な気持ちになりつつ、小賢しいポメラニアンのことはこちらもなんだかんだで可愛いと思っています。

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犬にっき 空廼紡 @tumgi-sorano

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