妹との出会いの話

あの日、僕はいつもの様に起きてから歯を磨き、髪を整えてから某有名レストランで女性ながらにシェフとして働く忙しい母がそんな中でもしっかり作ってくれてる朝食を食べ、都内にある料理系専門学校に出たかけた。


いつもの道、いつもの街並み、いつもの風景…特に変わり映えのない毎日の朝。


正直退屈でもあり、だからこそ人生は面白いのかもな…なんて厨二臭くニヒルに構えながら学校へ向かう少し痛い子が、柊木ひいらき ゆうという少年であった。


優の夢は母と同じ調理師であった。

「いいかい優、食事ってのは人が生きていく上で必要なもの、しかも料理には人を幸せにできる魔法の力があるんだ、、美味しい料理には死にそうな程落ち込んでる人にだって笑顔にする事だってできる。

だから優もママみたいになりたいならしっかり勉強して経験付けて、一緒に幸せをふりまこうね?」


それが母の口癖であった(本人は呼んでほしいみたいだが、絶対にママとは呼ばない)


その為には知識、経験が必要だ。

なので日中は学校へ行き、夕方には駅の近くにあるレストランでバイトをしている。


そんなこんなで家から徒歩15分程にある最寄駅まであと少しと言う所まできた優だったが、道沿いにある民家の生垣から1匹の猫が出てきたのが目についた。


「ん、、、?」

「あの子猫、珍しい毛色だなーあれは白?いや、なんか少しキラキラしてるような…?」


動物は比較的好きだがそこまで詳しくはないので珍しい!としか印象になかったが、可愛いからいいか、、なんて呑気に考えていた時だった。


「あっ…行ってしまった…触りたかったなぁ…残念…っていや待て!そっちは道路だぞ!!」


子猫は近づく優に警戒するあまり、急いで道を横切り道路に飛び出しました。

その時不運にも車が通る瞬間でもありました。


「っ…!?」


子猫自身、引かれる…!!と思ったのか車に顔を向けたまた目を閉じました。

しかしながらいつまでも痛くはない…?

あれ?もしかして引かれなかった?

でもなんか宙に浮いた感じがしたが…?


困惑気味に子猫は目を開けると、そこには先程の少年が息を切らせながら私を抱き上げているではありませんか!


「にゃ…!にゃにゃにゃ……!!」


「あっ!こらっ!!暴れるなよっ…!」


子猫を無事に助けた優だったが、びっくりしたのか暴れて抱き上げた腕から逃げてしまった。

そのまま子猫は何処かへ走り去っていった。


「もぉ…せっかく助けてあげたのに」

「ま、無事ならいいか」


ほっと一息ついたその瞬間であった。

子猫を助けた優が居るのはとっさに飛び出た道路脇、そしてそこへ不運にも携帯を見ながら運転している車がふらふらと脇道に寄ってはしってきていた。

しかし当の本人は気がついて居ない。


「ん…?、あっ……」


優が最後に目にしたのは、車のヘッドライトであった、、、。



しばらくして子猫はあの人間にお礼を言ってない事に気がついた。


「助けてくれたのに逃げちゃった…」

「でもあの人間も悪いのよ?いきなり抱きしめたりなんか…!」


などとぼやきながら先程の場所に戻ってみると、なにやら騒がしく人だかりも出来ている。

なんだろ?と思いつつ人の足元をスルスルと抜けて見にいくと…。


「えっ…!?なに、これ…!?もしかして、あの人間、引かれたの…?」


これは自分のせいでは無いだろうか、もし、自分が気をつけていれば…と僅かながらの責任を感じた子猫。


「魂はまだここにある…かな?」

「今ならまだ一緒にあっちにいけるかも」


そんな言葉を残して、子猫は路地裏に走り、そこで光と共に消えていった、、、。

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猫を助けたら何故か異世界で可愛い妹ができました。 @souzyu

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