最強家族の憂鬱~最愛の弟が冒険者になると言い出したので全力で脅威を排除します~

悪魔の証明

プロローグ

今日こんにち、世界の命運をかけて死闘を繰り広げている者たちがいた。


「ソフィア!!」


そう叫び必死に魔王と剣を打ち合う、この赤髪の男はジーク・ビルフォード。勇者である。


「わかってる!。回復呪文ヒール!!」


そう言うこの少女はソフィア・グレイラット。このパーティーの祈祷師きとうしでジークの恋人である。


「ジーク無理はするな!」


この男はギルバート・シュバルツ・ラインハルト。焦げた肌に顔の大きな傷が目立つゴツい漢である。


「ギル、ジーク。行くわよ!!!」


大きく声を上げ杖を魔王に構えるこの女はエルザ・ローベルト。お金が大好きな女性で魔導士である。


炎球ファイアボール!!」


ギルバートとジークはエルザの後方支援と共に魔王に向かってゆく。


「そんなもので我を倒せると思っているのか!?これで最後にしてやろう!!

呼吸も許さぬ暗黒空間イスパス・モーテ


魔王を中心に暗く、おぞましい空間が展開されていく。


「散れ。炎球ファイアボール


呼吸も許さぬ暗黒空間イスパス・モーテが完全に展開される前にエルザは炎球を爆発させた。


「下らぬ抵抗を!!貴様らはもう終わったのだ!」


呼吸も許さぬ暗黒空間イスパス・モーテが完全に展開され、魔王が勝ちを確信した瞬間ある疑問が魔王の脳裏によぎる。


(どこにいった?奴らがいない・・・)


「終わりは魔王!お前の方だ!!」


炎球の爆破と同時に上に飛んでいた、ギルバートとジークはその勢いのまま魔王に切りかかる。


聖十字雷断クロスサンダー!」


二人の合体技を受けた魔王は横に倒れた。致命傷である。



「我は不滅なりぃ!!」


魔王はそう言ってソフィアに向けて最後の一撃を放った。


「ソフィア!」


ジークが駆け寄るが間に合わず、先の戦いで疲れ切ったソフィアはまともに食らってしまった。


「貴様には呪いをかけた、正確にはこれから生まれてくる貴様の子らにな。貴様の子らはいずれその呪いにより大きく運命を狂わされ災いに巻き込まれるだろう。」


魔王はそう言い残すと不気味な笑い方をしながら消滅していった。


魔王が言い残した言葉のせいか4人の間に沈黙が流れる。


「・・・。とりあえず魔王は倒したし、お祝いでもする!?」


気を利かせたのかソフィアが沈黙を破る。


「お祝いか....。やっとくか!?」


ギルバートが嬉しそうに構えた。


「え~やるの~?恥ずかしいんだけど」


「みんな行くよ!」


ジークがそう言うと四人はそれぞれ持っている剣や杖を天高く掲げた。



「我ら運命を共にする仲間、喜び合い怒り合い悲しみ合う日を共にしてきた、そして今こうやって生き残れている事。神に感謝を」


「「「神に感謝を」」」


「そして無事使命を果たせたこと皆に感謝を」


「「「皆に感謝を」」」


「私たちついにやり遂げたんだね。」


「応とも!俺ら4人がそろって出来ない事なんてあるわけないぜ」


「ちょっとそういうのやめてよ。恥ずかしくなってくるじゃない」


「でも本当に終わったんだな。僕達の旅が......」


ジークは今までの旅を振り返り涙を零す。



「ちょっと何泣いてんのよ!」


「そういうエルザこそ泣いてるよ?」


「まあ色々あったからなぁ!そりゃあ泣くわ」


ギルバートはニヤつきながらそう言った。


「ちょっと!?ギル!馬鹿にしてんの?」


「どうだろうなぁ!」


「ちょっと二人とも喧嘩はやめてよ」


「ほどほどにしときなよ?ギル、エルザ。」


魔王を倒した喜びを4人で分かち合っていたが一転していつも通りの空気に戻る。



「「え!?魔王城に住む!?」」


ギルバートとエルザが口をそろえて言った。


「うん、ソフィアと話し合って決めたんだ。ここはとても良いところだからね」


「どこがだよ!?。魔力が濃いはで体は重いが、魔獣はうじゃうじゃいるし、魔王城は全部悪趣味だし、大体!王様に報告しなきゃなんねぇだろ!?」


「報告はギルとエルザですればいいだろ?あと魔王城はかっこいいよ」


「かっ....こ...いい....?」


「呆れた....。」


思いもよらぬ返答に二人は唖然とする。


魔王城なんて人が住めるような場所ではない、住めたとしてもそこでの生活は過酷であること間違いないだろう。


だから普通の人は住もうと思わない。その選択肢すら出てこない。

......普通なら

そう!勇者であるジークは変人だったのだ。

そして!!それの恋人であるソフィアもまた変人だったのだ。


「お前は一度言い出したら聞かないもんな。わかった、報告は俺らでするよ。ここに住むのも勝手にしろ。でも!たまには会いに来いよ!?俺らは仲間なんだからな?」


「当たり前だろ。」


「それならいいけどよ。」


「ソフィアもたまには会いに来なさいよ!」


「当たり前でしょ」



「じゃあ.....俺達行くわ。ヨルさんお願いします。」


二人は帰る準備をしてヨルムンガンドのヨルさんの上に乗った。


「仰せのままに」


ヨルさんははその青い翼を羽ばたかせ飛び立った。


「.....またな」


「ああ、またな」


「またね」


「うん!、またね」


四人は最後の別れを済ませそれぞれの道に進んでいった。





むかしむかしあるところに勇者とその仲間たちがいました。


勇者とその仲間たちは多くの苦難を乗り越え、宿願である魔王を打ち滅ぼすことに成功しました。


勇者たちは帰ると思いきや、何と、勇者とその婚約者は魔王城に住むと言い出しました。


勇者は魔王城で生活している内にどんどん強くなりました。


20年ほどの時が流れ、勇者にも子が生まれました。


そして勇者の子らもぐんぐん成長してどんどん強くなりました。


これはそんな勇者の息子とその家族による最強で最高な物語である!!

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