間違いなく面白い超大作。

 煌めく人物描写、弾む文章、心踊る戦闘描写。この作家さまのリズムは、中毒になります。
 間違いなく、面白い超大作。
 
 ところで、あなたは、愛する人を救えますか?

 誰か敵にさらわれた、それなら敵をなぎ倒し救い出せば解決です。
 でも、この物語の「望月」は、心を失くすほど、心を見えない鎖で捕らわれています。
 傷ついた心。闇に沈み込み、言葉さえ届かない。
 そんな愛する人の心を、どうやって救いますか?

 由利は逃げない。望月の心を、救うまで。
 険しい道です。ラストまで、手に汗を握ります。

 由利は強靱で肉食獣のような筋肉を持ち、きらつく瞳が印象的です。
 心が明るく澄んでいるからです。
 うっはー! と陽光のように笑う彼は、実は凄絶な過去を持ちます。
 彼の人懐こさ、魅力に、まわりの人は惹かれていきます。人たらし。実に魅力的です。
 是非、最後まで味わって読んでみてください。

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