しっとり切ないホラーBL

 急に久々の電話をかけてきた『玄さん』と、彼のことが嫌いでない大学生男子のお話。

 えーっすごい! ホラーなのにボーイズラブ、っていうか恋のお話になっている……。
 およそこの世のものではない、ホラー的な要素がしっかりありながらも、でもお話そのものはあくまで恋と日常のドラマをしているすごいお話。

 なんだったらこう、いわば奇跡みたいな出来事だったりするはずなのに、でも全然そんなキラキラした感じの読み口ではないところが本当に好きです。
 あちら側の要素がしっかり〝あちら側〟の顔してる。別に邪悪な何かではないんですけど、でもそれ以上踏み込んだらちょっとわからない感じ、というか……。

 主軸はあくまで主人公のドラマなんですけど、でもそれが〝不思議な奇跡〟なんかではなく〝ホラー的な現象〟によって支えられている、その読み口が大変に面白い作品でした。