第5話 風紀委員会、再び
俺、和泉侑は現在、担任の先生に職員室に拘束されている。勿論要件は分かっている。
例のアレだ。
「先生、どうしたんですか?」
分かっていながらも白々しく聞くのが俺の社交術。
「侑君、君、活動義務ってしってるよね?」
「はい」
「じゃあどうして帰宅部なんてしようとしているのかな?」
「どうしてそれを……」
帰宅部計画はまだ計画段階で学園長にも抗議した記憶はない。
「勅使河原さんが言っていたよ。君ら仲良いんだね」
アイツゥゥゥぁぁ!!!
心の中で悲鳴を上げる
「そんな険しい顔しないで。まあ、君に合いそうなもの斡旋しといたから。多分君に拒否権はないと思うんだけど」
そう言って見せてきたポスターには見覚えのある顔。さらに『風紀委員、募集中!』との文字
よし、あいつも道連れだ!
「先生、勅使河原さんを連れてっても?」
「まあ、いいけど……君ら本当に仲良いんだね」
舞台は整った。
場所は教室。時間は昨日と丁度同じだ。しかし前回とは状況が逆だった。
何事も無ければ俺はこのまま流されて風紀委員会に入ってしまうだろう。
そんなことを許せるかな、否、許せるはずも無いだろう。美香の暴挙を。
実は事前に用意した秘策もあるのだ。
いざ、決戦の時
「何が決戦ですって?」
「( ゚д゚)」
「何にぶつぶつ独り言してるのよ。二酸化炭素排出しないで。地球温暖化に貢献して人間を困らせるな。」
危ない、危ない。どうやら聞かれていなかったようだ。今日は一段と切れがいいな。そう思いながらもポーカーフェイスで別の話題を振る。
「いやー、実は今日、職員室で担任に呼び出されてさー、なんか仲良いんだねって言われたよ」
「それは虫唾が走る」
「お前が言ったんだろ。まぁそれで先生に仕事頼まれてさ、ちょっと来てくれないか?」
そう言って俺は美香の手を掴んで引っ張る。
「ちょっ、ちょっと!」
階段を登って暫く歩けばそこには『風紀委員会』の文字が。
そのまま扉を開ける。
部屋の中には昨日の人が一人でソファに座っていた。さらに音にビックリしてお茶を吹いたようだ。ビチャビチャである。
「お、お前達は昨日の…」
吹きこぼしを拭いて
「いきなりで悪いんですが先輩!これを!」
そう言って俺はプリントを「二枚」机の上に置く。
「ちょっと何こ、何ですかこれは」
先に美香が食いついた。
プリントには和泉の他にも勅使河原美香の名前が。
「あぁ、君たちが…、話は聞いているよ。ただでさえうちは人数少ないから歓迎するよ。」
三階の奥にひっそりと佇むきっと他の人が見れば空き教室の様な場所だ。しかし中には白いカーテンが掛かっている。部屋の中心には二対のソファー。冷蔵庫なんかも完備されていて快適だ。
この場には3人しか居ない。
「あの、私この事全く聞いていないんですが」
美香が困惑した表情で言う。いつも通り猫をかぶっている。
しかし何もできない。俺が外堀を全て埋めてから計画を実行したのだから。我ながら完璧である。
さて、俺は目の前人物の名前を知らないので『委員長』と呼ぶことにしよう。
「さっそくですが、何か仕事があると嬉しいです」
白々しく美香の言いたい事を無視して言った。彼女は推しに弱いことを知っている。
「仕事としてはパトロールしかないのだが」
2年ぶりに再会した幼馴染、学校では才女だが俺だけは知っている。 ラフなにゃっぴー @Nyappi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。2年ぶりに再会した幼馴染、学校では才女だが俺だけは知っている。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます