第4話 風紀委員会と督促状と

前回のあらすじ


美香と侑は2人で部活見学をした。帰宅部になろうと決めていた侑に美香が衝撃の告白が頭の中にこだまする。





どうやら学園では活動義務があるらしい。


家に帰ってくるや否やその事で頭のリソースはパンパンだった。

だって入りたくねえもん。

駄々をこねようとするが時の流れは有限。無駄な足掻きだと分かっている。

因みに今日の夕飯はカレーナン。決してさっきの発言がナンだけにパンパンなんて引っ張られていた訳ではない。そう、決して。

大事なことなので二回言っておきました。


父親への報告も確かこんな感じだった。

「父さん、この学園、活動義務あるらしい。」

「前みたいに帰宅部と言い張っておけばいいんじゃないか?」

「ほら、これ」

そう言って俺は貰ってからまもない学生手帳に書いてある一文を見せる。



「友達出来そうだな」

「嬉しそうな笑顔でなんてこと言ってるんだ」


そして何も解決しないままいつも通りに………とはいかなかった。





翌日も美香と途中まで登校。

「もう決まったよ」

「何にすんの?」

「帰宅部」

「そんなのできる訳ないじゃない」

「簡単だよ」

そうだ、昨日良く考えたんだ。帰宅部になる為に学園長に直談判すればいいんだってね。

その旨を言うと


「馬鹿じゃないの?脳味噌付いてんの?」


何気なく教室に入り自分の席へと到着。そしてホームルームを待っていようとすると周りに何人か男が寄ってきた。美香の方に目を向けると彼女にも女子が群がっている。


「和泉、昨日何してた?」

おそらくクラスメイトであろう男の1人が話しかけてきた。なんとなしに察しはついた。そういえば勅使河原と部活見学をしていたがそれが理由だそうだ。

「ほら、勅使河原さんとお前らしき人物が一緒にいたって聞いたぞ」

「なんで?勅使河原さんがどうしたの?」

「そりゃ、学園一の美少女と名高いあの勅使河原さんだぞ。噂にならない訳ないだろ」

驚いた。確かに顔立ちは整っているがあれほど男人気が高いなんて。

「さあ、別人じゃない?接点無いし」

俺はこれ以上絡まれたく無かったので適当に誤魔化すことにした。噂とは確証の得難いものだ。



そして何気なく授業は進む。

肝心な美香といえばどこか物思いに耽っている様子で廊下側を眺めている。朝は一体何を吹き込まれたのやら。不意にこっちと目線が合い、すぐに逸らす。

「勅使河原、ここ解けるか?」

「はっ、はい!」ガタンッ

勢いよく立ったせいで大きな音が出た。

「勅使河原?」

そう言う現在数学を教ている教師は氷室なんとか(名前分からん)。南極の若き雪原で植物は根絶してしまっているのが特徴だ。南無南無。


「は、はい、えっと……」

彼女は黒板に書いてある問題を見てすぐに答えを書き出した。流石無駄にスペックだけはあるなと思いつつも口に出さないのが紳士の嗜み。チョーク特有の軽快なリズムを奏で、終わったときには………

「正解」とだけ言い残して授業を進めるハゲ教師。

美香は何故かこっちを見てドヤ顔をしたのだった。



授業が全て終わり放課後。

現在俺は自販機で買ったコーヒー片手に優雅に電子書籍を読むという至福に耽っている。

そんな甘美な時間を過ごしていると邪魔をしたくなるのが神の悪戯か、スマホが震える。

相手は語る必要はないだろう。そこには一言


「話があるからこれから屋上に来て欲しいんだけど」



大抵のラブコメだったらここで告白の場面だろうと考えるかもしれない。

だって美香だよ?そんなことある訳ないじゃん

と思いつつも階段を登る。階段と言っても妙に入り組んでいてこの学園は6階構造であるため、無駄に果てしない。


やっとの思いで屋上へ。

「ハァ、ハァァ」

「遅かったじゃない、遅刻ね」

そこには勅使河原美香が立っていた。

時間指定していなかっただろうとは思ったが口には出さない。

「第一にどうして屋上まで行かなきゃいけないんだぁ、ハァ」

「アンタのことだから「ハァ」言うと「ハァ」思った………、いつまで息切れしてるのよ」


暫くの沈黙の後、美香はこう言った。

「いつもは避けていたけれど、明日から一緒にいる許可を与えます」

一体なんの風の吹き回しだろうか?

「それはどう言う……」

「勘違いしないで、今朝色々あったじゃない?

そこでアンタの名前を出したら皆んな色めきだっちゃって……っ、その、周りの男子からの視線も嫌だったし……その……」

何顔を赤くモジモジしながら言い出したのか。こっちだって照れるじゃないか。

「そのが多い、何が言いたいの」

「だからぁ……」


「あっ、あのぅ、お取り込み中のところ申し訳ないんですけど……私風紀委員会の者なんですけど、一応学園内での男女の不純異性行為は禁止になってまして……」

んっ!!!

誰だあの子?

そこには美香と違ってブラウスがはち切れんばかりに誇張している女子が立っている。

取り敢えず美香へ視線を逸らすがそこには静かに笑顔を浮かべて視線が交差する。

あっ、やっべ ( ^ω^ )

痛い、痛い。美香の伸ばしたての先には俺の脇腹が。これは怒っていらっしゃる。


「あの、無視しないで頂けると……」

ボソボソ呟いている。


すると突然

「行きますよ、侑君。」

学園モードへと切り替わり、俺は腕を引っ張られながら屋上を後にしたのだった。







後書き


最近は3時まで起きているのに気温は35℃を、超えました。


熱中症が心配になってきました。



暫くは更新出来無くなりました。


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