あまりにも愛らしく魅力的なふたり

 よく喋る泥酔酒乱大学生と、嫌々ながらもその相手をする羽目になった占い師の、どうにも困難でけったいな恋のお話。

 えーっなにこれすっごい面白い!
 男性同士の恋物語、いわゆるボーイズラブなんですけど、ライトでコミカルな読み口がもう楽しいのなんの。
 文字数にして約13,000文字。決して長いとはいえない分量にもかかわらず、じっくり丁寧に展開を積み重ねていく、この物語性の高さが本当に最高でした。
 ちゃんと出来事があって、考えて決断して行動して、その結果としての恋だから、読んでいて本当に楽しくって……。

 もちろんキャラや関係性も魅力的なんですけど、それがまず「お話をしっかり読まされる」ことの、その流れの中で綺麗に絡め取ってくる感じ。
 要は王道の恋愛ものです。ラブストーリーとしての満足感がものすごい。

 あとはもう、単純にふたりの人物像が好き!
 出歯亀的な目で見ての魅力というか、BLの登場人物としてのそれももちろんあるんですけど、同時に彼らの存在や人格そのものが普通に楽しい。
 こんなふたりが身近にいたら、いや自分の知らない遠いどこかでもいいけど、とにかくずっと幸せにやっててほしいなあと思わせるような、何か不思議な好ましさのようなものを覚えるキャラクターでした。

 読みやすくキレのある文章も大好き。とっても面白かったです!