第5話 結鶴side

サッカー部には部員が15人。

3年が5人,2年が6人,1年が5人と,割と小さめの部活だ。


今思った。

この中で遥香を狙う人が出てくるのでは...?

やばいっ!

でも,ここで遥香と近づける!

よって,±ゼロ。いや,プラスか。


「じゃあ練習始めるぞー。」

「「「「うぃーす」」」」


遥香は体操服に着替えに更衣室へ戻っていった。


「ちょっと聞きたいことあるんだけど。」


ボールを手に握った透さんがくるっとこっちに振り向く。


「遥香をマネに誘ったの誰?」


あれはお怒りの顔だ!やばいっ!


「それ,結鶴ユヅでーす。」


言い忘れていたが,律も同じサッカー部。


透さんがこっちに向かって歩いてくる。

やばい!今日命日!


結鶴ユヅ…」

「はいっ!」


殺される...!


「遥香をマネに誘ってくれてありがとう!」


先輩涙流してるし。

俺らの主将ってこんな人だったっけ?

あ,なんか汗かいて損した。


「先輩,離れてください。」

「えっ,ひど!カイちゃん,ひどくない?」

「まあまあ、先輩。練習始めましょう。」


やっぱり海先輩は癒し!


「皆さん、お待たせ致しました」


遥香が来た。体操服も似合う!


「よし、練習始めよう!」

「「「はい!」」」


すっかりその日の練習で遥香はサッカー部に溶け込んだ見たいだ。


「遥香ちゃん、ドリンクある?」

「はい、練習お疲れ様です。」


遥香ちゃん、と呼ぶのは雄登先輩。


「遥ちゃん、ボールそっち行っちゃった。」

「大丈夫でーす!」


遥ちゃん、と呼ぶのは海先輩。


俺も遥香と話したい!

これじゃ先輩達に遥香が取られる!


「水瀬さん、ドリンクある?」


「はい、練習お疲れ様です。…とても綺麗、です」


最後の方が小声で、何を言ってるのか聞き取りにくかった。

でも、『綺麗』と言っていたのは聞こえた。

遥香は何を『綺麗』だと言ったのかは分からなかった。


遥香は何事もなかったかのように一礼をして、自分の仕事に戻った。


何が、綺麗だったんだろう…?


【番外編】3年生ズ 透side


サッカー部には3年生が5人。

簡単に紹介をすると、


大村壮馬おおむらそうま

壮馬は3年の中で1番心が広くて後輩からも慕われている。きっとこのチームの長男…?


清滝雄登きよたきゆうと

雄登はいつも無表情で何を考えてみるか分からない。嬉しい時も悲しい時も表情は一緒。

少しでも表情を作るといい事あったか、と先生に聞かれるほど。成績は学年1位。


月城奏斗つきしろかなと

元々ピアノをやっていたらしい。だから、見ていてすごくリズミカルに動く。不思議ちゃんなところがある。


天野誠人あまのせいと。気遣いが上手くて、他人に優しい。ちょっと近づきにくいところもある。


そして俺、水瀬透。


…こんな感じ。


「帰りどっか寄ってく?」


大体提案をするのは俺。


「いいよ、どこ行く?」


反対する人は居ない。壮馬のおかげ!


「普通に駅前のカフェとか?」


雄登の意見で奏斗が思い出したように行った。


「そうだ。ここ、最近できたレストランなんだけど、割引チケットある。皆で歓迎パーティしない?」


え、そうする!!


「いいと思う。遥香ちゃん含めて誰か誘って。」


じゃあ、ここは俺が代表して!


歓迎パーティ、楽しみ!













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私に”恋”を教えて Sonata @Nocturne92

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