第3話 結鶴side
終学活が終わった。
今日は掃除の当番ではない。
「水瀬さん,一緒に部室まで行かない?」
遥香と一緒に行動できるチャンス!
「ありがとう~!場所が分からなくて困っていたんです。」
俺が誘わなかったらどうしていくつもりだったんだろう…?
ちょっと心配になる。
二人で教室の外に出ると,廊下にいた人たちが俺たちに気づいたみたいだった。
「あの二人,一緒にいるんだ!珍しい!」
「美男美女だしもしかしたら...!」
「推してたのに!」
「あれじゃ勝てないかな。」
遥香,気分悪くしてないかなと思って横を見てみると。
『特にいつもと変わらなかった』
いつもと同じ⁉
聞こえてないんですか!今の会話!
「さっきの会話,聞こえて無かったの?」
グラウンドに出る前。
渡り廊下で二人っきりの場所で聞く。
「聞こえてましたよ?美男美女~とかの。」
聞こえてたのに,どうして無反応なの!
もし俺の事何とも思ってなくてもなんか反応あるでしょ!
悲しっ!
「私,可愛い子いるって聞いて,凄く探してたんです。」
ワタシカワイイコイルッテキイテ...
え,まさか!
「あれ,自分の事だって気づいてなかったの⁉」
遥香はびっくりして,目をぱちぱちさせた。
「えっ!あれ,私の事だったんですか?」
一気に遥香の顔が赤くなる。
が,すぐにその顔は元通りになる。
「ごめんなさい!変な噂立ててしまうようなことして...篠原君に悪いです」
遥香の目が少し潤む。
初めてみた遥香の表情にこっちまで顔が赤くなる。
あああっ!可愛い!この子可愛すぎっ!
「遥香...」
無意識に俺の右手は遥香の左頬に触れていた。
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