私に”恋”を教えて

Sonata

第1話 結鶴side

俺は篠原結鶴,高校一年生。サッカー部に所属している。


「そうなんだ~」


教室の外から聞こえる暖かい声。

だんだんと近づいてきている。

ガラッとドアの開く音がして,その方向を見ると。


「おはよう~」


俺が中学の時から恋をしている相手。

名前は…『水瀬遥香』。

心の中ではいつも『遥香』と呼んでいる。

遥香は明るくて,笑顔で,優しくて,可愛くて,天然!どこをとっても可愛い。


「おはよう,水瀬さん。」

「おはよう,篠原君。」


やっぱり可愛いなぁ。


昨日,席替えをして隣の席になった。

嬉しすぎて倒れるかと思った。←

鞄を置いて席に座った遥香に話しかける。


「水瀬さんって,部活入ってるの?」


教科書を置いて俺の方を向く。

目,大きいなぁ。


「ううん,入ってませんよ。でも,サッカー部のマネージャーをやらないかって,兄に誘われています。」


サッカー部のマネージャー⁉

俺,サッカー部なんだけど!


遥香がサッカー部のマネージャーやってくれたら俺めっちゃ頑張れる!

...っていうか,


「お兄さん?」


さっきお兄さんって言ったよね?


「あ,先輩に水瀬透っていませんか?私の兄なんです。」


え,主将...?主将が遥香の兄⁈

2年生にして主将を務める透さんが遥香の兄だったなんて...!

これ,付き合うためには先輩からのOK貰わないといけないのかな?

ハードル高っ!


「どうかしましたか?」


俺,変だったかな?


「え!いや,何でもないよ。」

「そうですか,なら良かったです。」


遥香はまた教科書に目を戻す。


「あの!」


少し大きな声を出しすぎたからか,遥香の肩がびくっと跳ねる。


「はい!なんでしょう?」


「サッカー部のマネージャーをやってくれたら,嬉しい,です!」


遥香の顔に笑みが広がる。


「じゃあ,やってみようかな...!」


席を立つ遥香。


「お兄ちゃんに言ってきますね。ありがとうございます,篠原君。」


ゆっくりと教室から出る遥香。


やってくれるのは嬉しいけど!

マネージャーやってくれたら嬉しい,って告白みたいなもんじゃん!

あの笑みは絶対Loveの感情を向けてくれてる顔じゃなかった...。


「また水瀬さんにアプローチ失敗してんじゃん。」


仲の良いクラスメイトの白石律が俺の机の前に立つ。


「そうなんだよ!でも,マネージャーやってもらえることになったし,頑張って振り向いてもらう!」

「その意気だ!」


律,優しすぎん?

絶対,振り向いてもらう!

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