第14話子爵家の人達〜影達の酒盛り〜

私がイリーニア様の侍女になって1年が過ぎました。

イリーニア様はとても優しい方で、私の右の頬から首に刀傷があっても他の侍女と同じように接してくれます。




孤児院で虐待されていた私をナダル様が影として教育する為、12才の時に引き取られました。


情報の取扱い方や、侍女の仕事、護衛として体術や剣術等、過酷な教育を受けました。

私も他の一緒に教育を受けている子達も他に行く所がないし、ナダル様についていけば、衣食住が保証されているので皆必死でした。


そして私は優秀だったようでイリーニア様付きの侍女に選ばれたのです。




「ここまでは良い話っぽいでしょ。」


影達の報告会後にお酒飲みながら新人に昔話をしている。


「そうですね!私も頑張って侍女を目指します!!」


目をキラキラさせて言いました。

そうね。私も1年前はそうだったわ·····。


イリーニア様は貴族とは思えない破天荒な方だった。


私が選ばれたのは優秀だったのもあるけど、体力が1番あったからなのよ!


30才にもなって、雪山行ってソリ遊びする貴族いる?!危うく遭難しかけたわ!


1度やって見たかったとか言って新開発のゴムを体に結んでガケから飛び降りるのよ!!



侍女訓練と体術訓練がセットの理由が分かったよ!!!


「·····もしかして一緒に飛び降りたんですか?」


新人が怖々聞いてきます。


「私達がしたのはガケの途中でゴムの網を張って落ちてきたイリーニア様の衝撃を柔げる担当だったのよ。足幅のない所でゴムの網張るのよ!落下してくる人を3人でゴム持って回収できるかーーー!曲芸師じゃねーよ!!」


崖下から、3人でゴムが切れませんようにって祈ったよ!


「回収に失敗したらイリーニア様は·····」


私は新人に皮肉に笑った。

「ナダル様の中にイリーニア様が・・・・・・・怪我するってのはないのよ。ゴム網で失敗しそうだったら肉壁になれって言われたんだから。」


イリーニア様はお優しい。だがナダル様は人の姿をした悪魔だ。


私達は教育中、イリーニア様への忠誠を徹底的に洗脳される。

もうイリーニア様に対して考えるより先に体が動く位だ。


「ナダル様って厳しいですもんね。」


「厳しいけど俺達以上に大変だからな。不満も言えないんだよな。」


同僚が酒瓶持ってきた。遠慮なく貰う。


「そうなんですか?」


「崖飛びの時もイリーニア様と一緒に落ちたんだぜ。肉壁になる為に。」


「そうそう。あの時の顔がさ。イリーニア様が満面の笑みでナダル様が決死の覚悟!って顔して落ちてくるから吹き出したぜ!」


あれは笑った。イリーニア様が楽しそうだったから余計に。


「お前ら、あの後体術訓練徹夜でやらされといてよく笑えんなぁ」


別の同僚が呆れたように言う。


そう、吹き出したのを落ちながら見られてたんだよね。


終わった後、笑顔で「網無しで受け止めれるようになろうか」って言われて一晩中扱かれた。

朝日が目に眩しくて3人で泣いた。


「でもそんなナダル様もイリーニア様には恋する少年になるんだぜ。」


「この前手作りクッキーを皆に配ってナダル様も貰ってたんだけど耳真っ赤にしてたもんな。」


「クッキー貰ったくらいで赤くなるって30半ばの男がどうなのよって思ったわ!」


「童貞じゃねーのにな(笑)」


ブブッ。


「ちょっと!酒吹いたでしょ!あれはイリーニア様限定の童貞なのよ。この前転けかけたイリーニア様を咄嗟に支えた時に胸に手があたっただけで鼻血だしてんだから。」


「グフッ!マジかよww」


「拗らせすぎだろ。ギャハハハッ!」









「皆酔ってますから気にしないように」


「··········」


執事長の言葉に返事を返さずに去っていった。

執事長もこれ以上のフォローが出来ずに見送るしかなかった。


番外編~[完]~

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シナリオに沿ってやり返そうと思います。 as @-as-

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