私の幸せはどこーーー!!!
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第1話
「ラビリア・サルバトーレ!貴様とは婚約破棄する。」
「承知致しましたーーー♡」
「待て!理由を聞かないのか?!」
そんなの貴方の隣でナマケモノみたいにぶら下がってる金髪の阿婆擦れ見たら皆分かります。
「理由なんてどうでも良いのです。
スキップしたくなるのを我慢して、王宮で開催している夜会から退出しようと踵を返した。
「待て、ラビリア!お前は俺を愛していたんじゃなかったのか?!」
なんか浮気男が言ってますわ。仕方ないから王太子の方に向き直った。
「わたくし一度でも貴方のことを愛してるって言いました?」
「それは·····」
「言ってませんよね。王族の方としてお慕いしているとか、王家に忠誠を誓っていますとかは言いましたけれど、
念押ししておかなきゃ。こんな大勢の貴族の前で誤解されたらたまったものじゃありませんわ!
「しかし何時もお茶会したり、王太子宮に遊びに来たり、俺が女と一緒にいたら邪魔したじゃないか!」
そりゃしますわよ。
「お茶会も王太子宮へのご機嫌伺いもす・べ・て婚約者の義務としてしていました。女性といたら邪魔したと仰いますが、放って置けば情事に及ぼうとするのを阻止するためです。先に愛人が子を身篭ったら争いの種になるだけなので。」
それすら気にせず、女性のお尻を追いかけてるから私が出なきゃならなくなりましたのよ!
「じゃあ、俺を愛してーー」
「おりません。どうしてそれだけで自分が愛されてるって思えるのか不思議ですわ。」
「だって俺を愛してるから、今まで·····」
「で・す・か・ら、婚約者の義務です。王太子殿下の側近の方にお聞きして下さい。」
王太子の周りにいた(今は若干距離を開けてる)側近達を見る。
「まさか貴方達も同じように勘違いしていたとは言いませんよね?」
はい、皆さん勘違いしていましたー。
「言っておきますが、この国の女性は良妻賢母を求められるのです。嫌でも男性に尽くさねばなりません。それを自分は愛されてるからとか、女性の事を注意したら嫉妬は醜いとか勘違いにも程がありますわ。」
出席している貴族男性が気まずくなってますわね。
「貴族女性はただ自分の権利を主張してるだけです。夫の庇護下に入る事しか許されていないのに、浮気されて愛人が大きな顔してたら周りに馬鹿にされるんですから。」
出席者の貴族女性がうんうんと頷いています。
「じゃあ、ミリアを虐めて」
「おりません。結婚後ならともかく彼女の存在は殿下に集る蝿、婚約破棄を考えていると聞いてからはわたくしの救世主でしたわ。」
あら、皆さんお顔が真っ青ですよ。
「因みに側近の方もそこの阿婆擦れと出来ておりましてよ。詳細は婚約者のお家に送りましたので。」
自分から言わなくても婚約者の方から婚約破棄してくれますわよ。
「嘘よ!」
「嘘と申されましても王宮では有名ですわ。隠そうとしても出来ないのが王宮です。」
男爵令嬢の身分で王宮内を彷徨いてたら、目立ちますわよ。
側近のみなさんのお顔、青から白に変えて婚約者の元に急いでますわね。手遅れですのに。
「ラビリア、王太子である俺に捨てられたらお前に未来はないんだぞ。それでもいいのか?!」
まだなにかほざいてますわ。
「言っておきますが、殿下が仰った破棄は貴方にかかるのですよ。慰謝料楽しみですわ。」
「何故俺が払うんだ!」
「
尤もここにいる方の大半が浮気しております。
男性方が更に俯いてしまいましたわ。首を痛めますわよ。
「ですから、婚約破棄は喜んでお受けして、慰謝料で領地でのんびり過ごしますわ♪♪」
王太子は顔面蒼白で声も出ないようです。
じゃあ帰ってもいいですよね。
私は足取り軽く夜会会場を後にしました。
後日、侯爵家に婚約
王太子は廃され、弟殿下が王太子になりました。
ナマケモノは王太子その他を誘惑し婚約破棄を続出させたので、表向きは自殺したとの事です。
侯爵家の四阿でアフタヌーンティーをしていると、肩まである黒髪を1つに纏めた美丈夫がこちらに来らました。私の前で跪き手を取って口付けます。
「王宮の夜会では君が主役だったね。とても素敵だったよ。」
「あら、ありがとう。態々それを言いに来ましたの?」
この黒髪の男性はマリク。私の幼馴染で公爵家嫡男。
「まさか!君に求婚しに来たんだよ。」
彼はニッコリ微笑んでバカな発言をしましたわ。
「昨日来て居られたのでしょ。それなのに求婚するって何考えてらっしゃるの?」
結婚したくないって分かってるでしょ。
「私は君の本性を子供の頃から知ってるし、結婚したら浮気はしない。契約書にも書くよ。」
ふむ。契約書を交わしてくれるなら、いいかしら。浮気したら今回の慰謝料の三倍は貰えるようにしましょう♪♪
「それならお受けするわ♡」
マリクは浪費家でも吝嗇でもないし暴力的な人でもない。
一応その辺も契約時に確認しておきましょう。
そんな事を考えていたら、いきなり腰に手を回され抱きしめられましたわ。
「ああ。やっと君を手に入れた。どれ程待ったか。あの愚か者を始末する前に自滅してくれたから、手を汚さずにすんだよ。」
なんて?
「あのー、マリク?」
確認したいけどするのが怖い·····
「どうしたんだい。ああ、私と結婚してもラビリアは自由にしてくれていいよ。公爵夫人の仕事も気にしなくていい。我が家の使用人は優秀だからね。」
ちょっと!眼がイッてますわよ!!!
「但し、私以外の男を見る事は許さない。必要最低限の接触以外は控えてもらうよ。」
ヒイィィィーーーー!!
「あの、結婚はなかっーー」
最後まで言う前にマリクの唇に塞がれた。
無理矢理口を開けられ舌を入れられ絡められる。
息が出来なくなるのとゾクゾクするような感覚に立っていられなくなり、なすがまま。
やっと唇が離れたけど私はぐったりして体に力が入らずマリクにもたれかかっております。
「ラビリア、せっかくの喜びを台無しにする様な事は言わない方がいい。君も自由に出歩きたいだろ。」
それって断ったら、監禁するって意味?!
「さあ、侯爵に結婚の報告に行こう。」
ガタガタ震える私を横抱きにして、頬に口付ける。
「愛しいラビリア。一生大切にするよ。」
浮気男から解放されたら今度は束縛男って···············
私の幸せは何処ーーーーーっ!!!!
*******
マリクの帰った後の侯爵家~
「ラビリア、覚悟を決めてお嫁に逝きなさい。」
「せっかくあの悪魔から逃げられると思ったのになぁ~」
お母様、字が違います。お父様、涙を滲ませて遠い目をしないで下さい。
「お二人共マリクの異常さを何故言ってくれなかったのですか!」
子ども時から遊んでたけど、まったく分からなかったわ!
「私達も命は惜しい。お前も、気付いていないようだったし、王太子と婚約したから諦めてくれると思ったんだ。」
そんな訳ないのになぁと呟いて肩を落とされた。
えっ、私が王太子と婚約したの8歳の時よ。お父様、子供に命の危機を感じてましたの?!
しかも昨日お父様達が婚約破棄の時に顔色が悪くなってたのは、私の王族への不敬ではなく、マリクからの求婚が確定して青くなってたそうな。
「貴女って男運が悪すぎるわ·····。でも浮気は絶対しないわよ。良かったじゃない。」
·····そんな悲壮な笑顔で言われても良かったなんて思えません!
もう一度言いますわ。
私の幸せは何処ーーーーーっ!!!
~[完]~
私の幸せはどこーーー!!! as @-as-
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