第6話長野へ行こう②

その日は、白馬のスキー場に全員向かった。

雪はない。DA PUMPの新曲が鬱陶しいくらい、繰り返し流れていた。

Fラン大学生どもは、写真を撮ったり、お土産買ったり。

その日の夕飯は神谷と久保田が担当した。

神谷は高校時代、家庭科の調理実習で鮟鱇をさばき、鮟鱇鍋を作った実績があり、久保田はバイトが寿司屋だ。


夕飯はアサリの酒蒸し、ニジマスの塩焼き、そして、寿司であった。

天気が崩れ最後の宿泊日なのに、コテージの中で、飲酒するしかなかった。


神谷と久保田の手料理は評判だった。

皆で、散々酒を飲み明かした。

翌日、帰りの電車まで時間があったので、パチンコを男組は打った。女組は、また、信州ソバを食べに出掛けた。

長い夏休みが終わると、神谷は大学に来なくなった。バイトも辞めてしまった。

神谷は、実家の母がガンになり、生活費を助ける為に大学を自主退学したのだ。

神谷は皆にサヨナラは言わず、静かに去って行った。


サークルは続けたが、神谷がいないと物足りなくなり、間も無く解散した。

Fラン大学でも、学費は高い。

神谷のような生徒も多かった。

皆、いい思い出をありがとう、と神谷は飛行機の中で想っていた。


(終)

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僕らの大学はFランク 羽弦トリス @September-0919

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