第10話 ラッキーディズ♥️
あ、先輩。
こっちこっち、こっちですよ。
すみません、またまたこの第二図書室に来てもらっちゃって。
……え?
何か急ぎの用か、それとも、またいい感じの命令でもしてくれるのか、って?
もー、違いますよ!
お礼ですよ、お礼!
ありがとうございます、先輩。
今日登校したら、クラスの私をイジメてた子たち全員から、頭下げられちゃいました。
これまでのこと謝られて、これからは仲良くさせてくれ、って。
正直、今さらそんなこと言われても、イジメの中心だった子とは、関わりたくないですけどね。
でも、イジメっ子の目を気にして私を避けてただけの人たちとは、これからなんとか、うまくやってけそうです。
そうそう、私のことに無関心だった、担任の先生まで私に謝ってきたんですよ?
あれって全部、先輩の仕業……ですよね?
いったいぜんたい、どうやったんです?
校長先生にでも掛け合ったんですか?
……違う? もっと個別に対応した?
……どういうことです?
……え?
ひとりひとりの弱みを調べて、それからひとりひとり脅し……いえ、説得して回った?
いやいやいや……けっこうな人数がいたはずですよ? それを、この短時間で……?
……え? 風紀委員会の組織力を甘くみるな? 僕が一声かければ、風紀委員たちは速やかにミッションをコンプリートする?
なんですか、うちの学校の風紀委員会って隠密御庭番衆とかだったりするんですか?
(ハァ)
……まあなんにせよ、先輩のおかげで助かりました。先輩は後輩女子に命令されて喜ぶドMですけど、頼りになるワンちゃんです。
……でもいいですね、彼女さん。
こんな素敵な年上の彼氏さんがいて。
……え? 彼女なんていない?
いたこともない?
なに言ってるんです。夜中、町外れのファミレスで、私と同い年くらいの女の子と話してたじゃないですか。
それがそもそも、私が先輩を脅してたネタなわけですし……。
……え? あれは君の勘違い?
あれは妹……? 病気で長く入院してて、あの日は息抜きしたいっていうから、こっそり外に連れ出してた……?
え? え?
じゃ、じゃあ、なんでその場で否定しなかったんですか?
……夜中に出歩いてたのは事実? いや、でも、実際は遊び歩いてたわけじゃないんだし!
私、私……これじゃ、すごい嫌な奴じゃないですか!
……え?
……持ち物検査の時のこと、ずっと気になってた? 勘違いからでも、話すきっかけが欲しかった? 僕が勝手にやったことだから気にするな?
そんなぁ……。
……ごめんなさい、先輩。
私、勝手に逆恨みして、勝手に勘違いして、勝手にワガママ言って……勝手に助けてもらっちゃいました……。
私、どうお詫びしたらいいか……。
……え?
君はいい感じの命令を出してくれる、素敵なご主人様だ?
もっともっと素敵な命令で、僕を魅せてくれ?
ハァ……。
もう、一瞬でも気にした私が馬鹿みたいです……。
ふふ。
それじゃあ、ドMなワンちゃん。
ずっとイジメてあげますから、忠実なドレイとして、ずっと私のそばにいてください。
これは命令、ですよ?
(fin)
【言葉責め】弱気な後輩女子に弱味を握られてドレイにされてますが、これはこれでゾクゾクするから、まぁいっか。【「G’s こえけん」コンテスト作品】 氏家るる @watanukihajime
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