幸せと不安

しばらく他愛ない話をして愛城先輩は帰って行った、愛菜は僕の高校時代の話を聞いてどことなく嬉しそうだった、それから僕らはしばらく楽器を触ったりしていた、愛菜のあくびの声が聞こえた、時計に目をやると11:00を指している


「今日は疲れたしそろそろ寝ようか」


愛菜はこくりと頷いてもぞもぞとベッドに潜っていき、目元だけを布団から出して僕が来るのを待っている、僕は部屋の電気を消した、少しクシャっとなった愛菜の髪を手ぐしでとかしているうちにいつの間にか眠りに落ちていた



翌朝起きると愛菜が僕の腕の中で静かに寝息をたてている、起こさないようにとそっと腕を抜き取りスマホの画面を見る、6:30の文字と一通のメールが目に入った、相手は母親だ、少し憂鬱になりながらも開いてみる、

内容は僕が仕事を辞めたことをどこからか知ったこと、これからについて話し合いたいこと、今の家を引き払って実家で暮らして欲しいということが書いてあった、愛菜のためにも実家に行くことはなしにする、とりあえず何も言わずに仕事を辞めたのだから説明するとまでは行かなくても、一言ごめんくらいは顔を合わせて言うことにする、次の休みにうちの近くのカフェで話をしようとメールを返した


僕がコーヒーをいれていると愛菜が起きてきた、眠い目をこすりながら僕の隣に立ってぽけーっと顔を見上げてくる


「コーヒー飲む?」


愛菜はこくりと頷き僕にもたれかかって寝そうになる、僕は愛菜を優しく揺すって顔を洗ってくるように言う、素直に頷いて洗面台に歩いていった、あとから親に会いに行くこと伝えないといけないなぁと考えながら愛菜のためにミルクと砂糖多めで作ってあげることにする

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僕の話 くじらのなみだ @Qujilatear

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