番外 NO.1
「お前を殺す」
「殺される理由がわからないんだが」
俺は登校するなりクラスメートに殺害宣言をされた。
これ、裁判にしたら俺勝てるかな?
「お前、今度こそ鈴野と付き合ったんだってなあ!?」
「ああ、そうだけど」
「コロス!」
「アーモウメチャクチャダヨ」
殺気をたっぷり含んだ視線をこっちに向けてくるクラスメート達からとりあえず全力で逃げた。
「お、浅利くんじゃん。やっほー」
「なんだ、妹尾か」
「なんか反応薄くない!?」
全力で逃げてる俺に話しかけてきたのは妹尾春。
金髪ツインテで、身長が小さい。
ちなみにこの髪の毛は地毛らしい。
美鳥の親友で、俺もしばしば美鳥経由で顔を合わせる。
「ごほん、まあそれはそれとして。……やっと付き合ったんだって?美鳥と」
ニマニマ笑顔でこちらを見上げてくる。
妹尾は、俺に『まだ付き合わないの?』だの、『このヘタレ』だの言われてた。
まあ、俺たちがくっつくのを今か今かと待ってた一人だ。
「まあな。結局、お前が望む結果になったよ」
「にっしっしっし。そだね〜。というかなんで今まで付き合ってなかったのかわかんないけどね」
「色々あったんだよ」
「ふーん?まあいいや。ところでさぁ……」
妹尾は更に口角を上げて耳元で囁いた。
相変わらず近いんだよな。こいつは。
「どこまでいった?チューくらいまでは行ったよね?」
「……ノーコメント」
「ええ?教えてよ〜」
「うるさい」
「ちぇっ」
唇を尖らせて不満げにしてる妹尾を置いて、俺は教室に戻った。
クラスに戻ったらまた殺されかけたのは別の話。
……あいつらの殺意が強すぎて怖いんだけど。
「宗太郎、一緒に帰ろ!」
「おう」
「爆発しちまえ……」
「リア充撲滅委員会出動!」
「出動すな!」
放課後になり、帰る準備をしている時に美鳥に声をかけられた。
俺はカバンを持って、美鳥と一緒に教室をでたんだが……。
後ろの方から呪符みたいなものを持った集団が追いかけてきたので、美鳥の手を握って猛ダッシュした。
「はあ……はあ……ここまで来れば大丈夫だろ……」
「……もう、宗太郎ったら大胆!」
「何いってんだコイツ」
お前、夜伽しにきたとか言ったり、人の着替え除いてカメラ構えてた変態さんだよな?
「ねえ、宗太郎」
「ん?」
「駅前のドーナツ屋さん行かない?」
「いいぞ。じゃあ行くか」
俺と美鳥は手を繋いで、駅に向かった。
こうやって当たり前に手をつなぐようになったのは今日からかもしれない。
今までは美鳥が一方的に手を繋ぐだけだった。
でも今は、俺が嘘をつかなくなったから自然に手を繋いでいる。
「……あの二人見てると恋人同士だなって感じするわねぇ……」
とかいう声がちらっと聞こえたが、気にしないことにする。
まあ、そんなふうに思われてるのは……嬉しいけど。
「ほら、早く行こうぜ」
「うん!えへへ……」
……くそっ、可愛い。
そして二人で仲良くドーナツを食べた後、家まで送っていった。
ヤンデレ幼馴染にわからされる 田中山 @tanakasandesuyo
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