第11話 幼馴染はわからせる

「美鳥……お前、一体どういうつもりなんだ?」


「え?何が?」


「……俺と付き合っているとかいう噂」


「あ、それ?本当のことでしょ?」


「知 っ て た」


 どうせ美鳥のことだからそんな事言うだろうなって少しは予測できてた。

 少し慣れてきたよ。


「いやね、美鳥が勝手にそう思うのは別に良いんだ。妄想くらい誰でもするからな。でも、断り文句にするのはやめてほしいっていうか……」


「宗太郎!」


 美鳥が急に俺の名前を叫んだ。

 その声には真剣さが感じられた。


「宗太郎はさ、ボクの事嫌い?」


 ……突然すぎる質問だった。

 そして、答えにくい問いでもあった。


「いや……別に、そんなことはねぇけど……」


「じゃあさ、好き?」


「いや、それは……」


「はっきりして!」


「!」


 そう叫んでる美鳥の顔は紅潮して今にも泣きそうだった。

 いつものハイライトがない状態ではなかった。

 どこか不安げな表情をしている。

 

 ……俺は。

 いつも一緒にいて。 

 可愛くて。

 明るくて。

 ……でもすげえ重くて。

 そんな幼馴染が嫌い?

 そんな幼馴染と付き合いたくない?

 ……。

 ……わからせられちゃったな。


「……好きだよ、ずっと昔から」


 ずうっと心の奥底にあった気持ちを。

 今、わからせられたこの気持ちを吐露した。


 美鳥はそれを聞いて、どこかホッとしたようで嬉しそうな表情をした。

 そして、頬にひとつぶの涙がこぼれた。


「じゃあさ……その……付き合って……もらったりとか?」


「……まあ、うん」


「!」


 俺が照れながら、OKの返事をすると、美鳥が抱きついてきた。


「うおっ!?」


「えへへ……」


 ……何これ可愛いんですけど。

 抱きしめ返したい衝動に駆られるも、理性で抑えつける。

 俺は、美鳥を離して、手を握った。


「ま、これからよろしく頼むわ」


「うん!あ、それと……」


 美鳥は耳元に口を寄せた。


「浮気は、ダメだよ……?」


「お、おう……」


 愛が重いヤンデレなのはどうやら付き合っても変わらないらしい。

 まあ、でも浮気する気なんて端から思ってないが。

 俺は美鳥に優しくハグした。

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