第10話 クラスメートは告白される

「よう、宗太郎。体調もう大丈夫なのか?」


「おう、別にそこまで大したことなかったしな。もうピンピンだよ」


 体調を崩した翌日、体調が整った俺は登校していた。

 美鳥に引っ張られてなのは相変わらずだが。

 美鳥に引っ張られた腕が痛いということ以外は元気になった。

 そんな俺に、治明が話しかけてきた。


「そういえば、宗太郎。お前、美鳥ちゃんと付き合ってるのか?」


「……は?俺が?アイツと?」


 ……傍から見たらそんなふうに見えてんのか?


「いや、朝はほぼ毎日一緒に登校してるし、下校も一緒だし……」


「いやまあ、確かにそうなんだけどさ。付き合うとかは全然違うだろ」


 あー、たしかに傍から見たらカレカノだな。

 ……でも、俺達はそんな関係じゃない。

 ただの幼馴染だ。

 ……それも少しおかしい関係かもしれないけど……。


「……ふぅん。ま、そういうことにしておくよ」


「だから、そうじゃないって」


 治明はニヤリと笑うだけだった。

 ……こいつ絶対信じてねぇな。


「まあ、真偽は宗太郎達しか知らないか……。げ、もうHRの時間だ」


「ああ、そうだな」


 担任の教師が現れたのを見て俺たちは自分の席に戻った。

 ……さてと授業頑張りますかね。





「ふぃー、やっと授業終わった……」


「浅利てめえ!鈴野さんと付き合ってやがるのか!殺す!」


「はぁ!?」


 放課後になった瞬間、血涙を流したクラスメートたちが俺の席へ押しかけてきた。

 もう、俺を殺さんばかりの勢いで。


「おい、治明!何でお前もそっちにいるんだよ!」


「いや、なんとなくだが?」


「ふざけんなよてめえ!」


 というか何で俺は殺されそうになってんだ!

 何がどうしてこうなった!


「何でそんな怒ってんだよ!?」


「黙れ!殺す!」


「せめて会話を成り立たせてくれ!」


 あーもうめちゃくちゃだよ!

 そこで俺は暴徒と化したクラスメートをなんとかなだめて、情報を聞き出すことに成功した。


「んで、何でそんなに起こってたんだ?」


「いや、堺がよー、浅利と鈴野が付き合ってねえって言ったんだ。浅利が言ってたって言ったから、本人が言うなら付き合ってないよな、ってことでさ。今日の昼休み、鈴野に告白したら、『ごめーん、ボク、宗太郎と付き合ってるから、無理!』って言われたんだよ!それが許せないというわけだ」


「……はぁ」


 美鳥は美鳥で何を言ってるんだよ……。

 まあそう言うだろうとは思ってたけど。


「宗太郎ー!帰るよー!って、どしたの?そんなジト目でこっち見てきて?」


 そこにタイミング良く(?)美鳥が来た。


「美鳥?俺とお前って付き合ってないよな?」


「え?何いってんの?付き合ってるでしょ?」


「浅利てめえ!」


「お前らは黙れ!」


 また襲いかかってきたクラスメートを抑えて、カバンを持って教室を出た。

 帰路、俺はクラスメートのせいでできなかった話の続きをした。

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