エイプリルフールに決まってる…らしい

四月一日は嘘だと解る嘘をついていい日(※諸説あり)。そんな日に、補習とか泣ける。


「補習自体が嘘じゃね?!だと思ったわー!」


担任に食ってかかって、怒られたのは言うまでもなく、補習に来ないと進級出来ないと脅された。


キーンコーンカーンコーン♪


補習終わりのチャイムで、机に突っ伏す。


「あーマジ補習爆発しろ。休みに学校来させるとかパラワハか」


「お前、その間違えが逆にムズいわ!パラワハ?お笑いかよ」


仲良く補習受けてるクラスメイトに突っ込まれつつ、騒いでいると、勢いよくドアが開く。


「あれ、麗華さま?」


女子の言葉にそちらを見れば、姉ちゃんがそこに居た。


「ごきげんよう」


恭しく挨拶する姉ちゃん、相変わらず可愛い。


「麗華さまー!今日どしたんっすか?加々美のお迎え?」


ギャルのひとりが駆け寄る。姉ちゃんは一部の奴らから何故かさま付けで呼ばれている。その理由はイマイチ知らんが。


「黒田いる?一発殴りきたんだけど」


どうやら黒田に喧嘩(?)を売りに来たらしい。


「賢吾、あんたに手ぇ出した黒田出しなさい」


状況読めない俺、納得する女子。


「姉ちゃん、黒田は頭いい代表だから補習には来ないし。ちょっ、待って姉ちゃん、黒田とどゆ関係?!まさか…俺が知らないだけでカレシ?!」


「さっき言わなかった?殴りに来たの。家行ったら学校って言われたからここかと思って♡」


「なんで姉ちゃんが黒田の家知ってんの?!俺すら知らんのに?姉ちゃんに手出したら〇す。黒田絶対ぇ許さねぇ」


怒りに震える俺に対し、周りは笑ってる。


「あんたシスコン直さなきゃ、彼女なんて一生出来ないよー?」


女子に言われて表情無くなる俺。


「は?姉ちゃんより最高な女がいたら付き合ってやるよ」


「黙れよ、シスコン。顔は良くてもキモイわ」


「姉ちゃんより可愛くなってから言えよ」


傍から見たら低次元の喧嘩に、ふふふと笑う。


「賢吾はそのままで居てね♡黒田は潰すけど」


少し低くなった声に感動する俺。(姉ちゃんは怒ると声が低くなる)


「……姉ちゃん、それうちの制服じゃん。借りたの?あー、姉ちゃんのいつもの制服も良いけどうちのも最高だわ。姉ちゃんこっちの学校来る?」


「んー、それは無理♡頭悪すぎるもん」


「だよなぁ…姉ちゃんに勉強教えて貰ってもダメだったからなぁ」


そんな会話をしているとドアが開く音が聞こえる。


「加々美姉弟って、ブラコンとシスコンを極めてるから見てて楽しいけど、巻き込まれるの超絶面倒いの。だから、ガンバーくろりん☆」


バチンと背中を叩かれたらしい黒田は眉間に皺を寄せて溜息を付く。


「あー、あんたが黒田?うちの賢吾に手ぇ出したって報告上がってんだけど。落とし前どうするつもり?」


喧嘩を吹っかける姉ちゃんに、小さく息を吐く姿に少し安心しつつ、様子を伺う。


「春休み中とはいえ、部外者が教室まで来るのはルール違反ですが」


「ルール守ってたら、あんたに会えなくない?それに、一応制服きてるから問題ないでしょ」


ピリつく空気に戸惑うと、チラリと姉ちゃんと黒田の視線が俺に来る。


「賢吾はアホだからこそ、だったんだけど」


姉ちゃんにアホと言われるのは解る。けど、なんか納得した空気が解せぬ。


「…図書室の本」


「マジか。犯人は?」


さっきの空気とは打って変わって、姉ちゃんと黒田がよく解らん会話が始まる。


「…じゃあ、お友達から」


「は?はぁ?!どーゆー展開よ?姉ちゃんと友達とか、はぁ?!」


最後耳に入った言葉に、黒田の胸倉掴む。


「麗華さまって呼べるならね」


「加々美のお姉さん…長いから加々美姉で」


「おい、待て。俺の許可無く姉ちゃんと話してんな!」


「ワタシタチオトモダチになりましたー♡」


「クソか!黒田と姉ちゃん並ぶとかムカつく!姉ちゃんに手ぇ出したら〇す!つかはっ倒す!」


「加々美姉、フォローは?」


「面白いから無視で。あ、賢吾ー」


苦言を呈する黒田を無視して、姉ちゃんは両手を黒田を掴んでいる手に重ねる。


「黒田今から彼ピだから、殴ったら…分かってるよね?」


「黒田死ねー!姉ちゃんに手ぇ出すとかマジ…」


ショックで座り込む俺に、頭を撫でる姉ちゃん。


「エイプリルフールに決まってんでしょ。だって黒田コイツ性格悪いもん」


「……ホントに?エイプリルフールって嘘ってこと?彼ピが?友達が?殴り込みが?」


涙目で見上げれば、ニコリと笑う。


「殴り込みは失敗♡彼ピは嘘で、今友達に出世した感じかなー」


「黒田死ね!彼ピも友達も嘘じゃなきゃダメだろぉぉ!俺の許可無く近付くなクズやろー!」


悲痛な俺の叫び声が教室に響き渡った。


……ちなみに黒田と姉ちゃんが電話でやり取りする仲になったのを知るのはずっと先の話である。


終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自称〇〇とかウケる 蝶 季那琥 @cyo_k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ