第3話 とりあえず外に出たいな
泣き疲れて俺はまた眠ってしまったようだ
時計を見てみると時刻は午前8時になっていた。
「ストレスなのかそれとも単純に仕事疲れなのか分からないけどとりあえずなにしよう.....」
仕事も家族も仲間もいなくなったと改めて重いながら自分の出来ることを考えた。
ずっと地下室にいるせいかそもそもここが異世界なのか未だに実感が湧いていない。
ただ少なくとも何ヶ月も寝ていた訳では無いし、仮にそれだけ寝ていたとしてもこの辺が草木の生い茂る平原にはならないことは簡単に予想がついていた。
泣いたせいか頭が痛いのを堪えながらじっと座って考えていた。
「こんな時でもお腹は減るわけか....」
不思議なもんでいくら死にたいといっても体は半強制的に生きようとする。
頭では死にたくても体は生きたがる。
そう考えただけで人間は不思議なもんだとつくづく感じる。
お腹が減ったのでとりあえず目の前にあった乾パンを食べる
「乾パンって普通に考えたらパサパサするから水の無駄遣いになるよななんで非常食なんだろうか長持ちだけなのか」
こういう独り言は結構する方だと自分でも理解していた。
物心ついたときから1人で話をする事が多かったが、今思うとストレス発散のために行なっていたのかもしれない。
「何があるか1回整理するか」
まずはここに何があるか確認する所から始めようと思う。ここにある物資が無くなれば晴れて俺は清々しく死ねると考えていた。
そもそも俺の今の心境的には外の世界には一切興味はないのだ。
目の前で確かに感じた死の感覚
隕石の音、家族の顔、今では出来ない夢の数々
今から1から頑張ろうと思ったとしてもなにを頼りに生きるべきかも分からないしめんどくさい。
そもそもまだここでした事といえば寝て乾パンを食べただけだ。
まずはここにどのくらい居ることになるのか考え、その後外を見てみようと思う。
この地下室は大体畳み6畳程と結構広めではある。そこに机やら棚やらが置いてあり、基本的には避難用であるため水のケースが約10ケース、非常食が1ヶ月分と自家発電用の懐中電灯やマッチなどそれなりに揃ってはいた。
「やっぱり1ヶ月位か」
その言葉には長くてウンザリしているのと短い余生をどう過ごそうか悩んでいるのかどちらともとれるニュアンスだった。
「はあ〜」
大きくため息をついた
やっと外に出る時が来たのだ
なぜこんなに外に出たくないのかというと理由としてはまず俺はここで1ヶ月過ごして地球の物を全て無くしてから死ぬつもりであることを決意した逆にいえば1ヶ月は生きなくてはいけないという事になる。
しかし未知の世界過ぎる外では出た瞬間に獣に襲われるもしくは未知のウイルスにかかるなどリスクが多いと考え慎重になっていた。
ただ逆にここが本当に異世界であるならばそれはそれで都合がいいとも考えていた。
とりあえずハシゴを上り重い扉を開けるとそこには昨日見た平和の2文字でしっかりと表される位には広大な草原が広がっていた。
「いや〜本当にどこここ? というか太陽久しぶりに見たな」
少し周りを見渡したあとあてもなく歩き出した。
ただ迷わないようにまっすぐひたすら進むことにした。
少し歩くと明らかに道路のような場所に出た
道路といっても草がそこだけ道のように生えていなく、それが左右に延々と伸びている。
「こういう時は基本的に任せるものだ」
そして心の中に浮かび上がる文字
"右だ!"
そう聞こえた声に従い後で戻れるように印をつけ右に歩き出した。
もう10分ほど歩いただろうかすると目の前に大きな城壁が見えてきた。
「これは...やっぱ日本ではない....よね」
明らかに日本の建築物ではない大きな壁は瞬く間に姿を表しそれを見ていると安心すら覚えるような頑丈さだった。
「というか完全にジャージで異質だよな。大丈夫かこの格好」
長く続く道の先に門のような場所がありそこで検問が行われているようだった。
検問には長蛇の列があり、まるでアトラクションのような感覚を覚えた。
とりあえず列に並び待つことにしたが、やばいことに気がついた。
「何喋ってるか全く分からん。ピーとかポーとか言ってるけどなんだ夫婦のことか?」
最悪ジェスチャーがあればなんとかなるが、言葉が通じない異質な格好のやつなど絶対引っかかるに決まっている。
でももしかしたらこちらの言葉は通じるかも知れない。
そんな淡い期待をして検問に向かっていった。
いつでも死ねる異世界生活 @shouyudesu
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