SS「後日談というか前日談というか今回のオチ②」

 その日の帰り道。


「~~ってね、めっちゃイケメンでカッコいい人がいたのよ!! ねぇ、凄くない⁉ あの人かっこよすぎるよ! 私が困ってることに気が付いてね、すぐに話しかけてくれたんだよ!!」

「ふぅん……そうなんだ」

「って、もう。涼音? もっと真剣に聞いてほしいんだけど!」

「真剣って別にそんな男、どうせ桃花の股でも狙ってるんじゃないの? だから優しくしたんでしょ」

「……涼音、その考え方は良くないと思うんだけど」

「男なんて獣よ……」

「——なんか涼音に言われるとそう言う気もしてきたけど、あんな事件も経験してたもんね」

「えぇ、あの時からね。男の人が少し嫌いになったのは」

「でも! あの人は違うよ、絶対!」


 一馬に送ってもらった女子高生の桃花は意気揚々ようと涼音に話しかけていた。

 自らがいる高校にはいないような優しさの塊、その一片を味わった彼女はもちろん彼の虜になっている。


 そんな桃花をまるでごみでも見るかのような、冷ややかな視線で見つめる涼音。懐かしきあの頃は彼女はまだ正気を保っていたのだ。


 もちろん、桃花が言っている男が自分の恋焦がれている愛しの相手であることは知らずに。


「……まぁ私は桃花の言うことに口出しはしないけど。ちゃんと気を付けるんだよ?」

「別に大丈夫だよ! 私モテないし!」

「それもそうね……」

「——ってそこは否定してよ!! ほんとに言ってるの⁉ 嫌うよ! ストレートすぎるよ!!」

「じょーだんよ。でも、モテるのはモテるので辛いけどね」

「……ふぅ。良かったぁ。うーん、そう言うものなのかなぁ?」

「ほんと、毎週のように可哀想な顔見る羽目になるからね」

「それは涼音が全部断ってるからでしょうが!!」

「だって、興味ないんだもの」


 淡々と語る彼女。

 もう少し男に優しくなりなよと言われるが意味がよく分からない。惰性で付き合ってもいいことなんてあるわけがないのだ。


「——やっぱり、まだ憧れてるの?」

「っ……」


 そう言うと涼音は少し動揺を見せながらも頷いた。


「あははっ、分かりやすく照れちゃって~~」

「だ、だって、あの人は——私の事を救ってくれて……将来を約束し、じゃなくて将来の夫になる人なんだもの!!」

「——約束もしてないし、夫になるなんてプロポーズなんてしてないでしょ」


 急に熱くなる涼音にジト目を向けた。

 しかし、こうなると彼女は止まらない。


「命を守ってくれたのよ! 命を投げ出して私を守ろうとしたの! そんなの王子様じゃなくて何になるのよ!!」

「体が動いたってやつじゃない?」

「私が好きだからでしょ?」

「——それを本気の眼差しで言われると怖いよ」

「私はいつでも本気よ!!」

「そうですかぁ~~」

「あ、ちょっとどこ行くのよ!!」

「はいはーい、私は怖い涼音ちゃんから離れちゃいま~~す!」

「ちょ、もうっ——!」


 ニコニコと微笑みながら桃花は走り出し、それを後ろから追いかける涼音。運動音痴で全く追いつかないのに元気よく走りだすのは今の彼女では考えられないだろう。




 そして、それからかれこれ1年が経ち——


「————あぁ、その子知ってるぞ?」

「え?」

「桃花ちゃんだろ? 名前聞いたからなぁ、一応……」

「な、なんで……言ってくれなかったんですかぁ!?」

「え、いや……てっきり知ってるものとって——まず、知らないじゃん涼音とその子が友達だなんて。だいたい2年生になってから見たことないし」

「そ、それは——まぁ、そうですけど……なんかムカつきます」

「……これが女子の嫉妬かぁ」

「うぅ、だってぇ」

「まぁ、安心しろよ……俺は涼音が好きだから」

「っ——せ、せん、せんぱ~~い!!」

「おまっ⁉」


 そうして抱き合うおしどり夫婦(恋人)。

 カップルになり、数年後彼女たちがゴールインすることはまだ誰も知らない。


 これは——ただの身長気質な男子学生と乙女で可愛いちょっぴりヤンデレな女子大生との物語だ。








<あとがき>


 初めましての方は初めまして、前作から楽しんでくださっていた方はお久しぶり、カクヨムにて小説を投稿している彼女なし男子学生ことふぁなおです。いやぁ、こんなふうに尽くしてくれる女子だしせいもとい後輩がいてくれていたら……と考えても仕方がありませんが、そんなことを想像しながら三笘涼音というヤンデレ乙女を描いていきました。話の中で拙い部分や少し指摘があった部分などもあったかなと思います。それはしっかりと受け止めて今後の活動に活かしていければなと考えています。元カノの件はもう少し踏み込んで書こうかななんて思ってます。その時は近況ノートでご報告するのでぜひ、フォローよろしくお願いします。


 というわけで楽しんでいただけたでしょうか?

 本作は2か月前のツイッターのスペースにて勢いで出してみた作品です。週間トップ10には入れませんでしたがそれにもかかわらずフォロワ−2000人を超えさせていただきまして大変嬉しい限りです。次回は3000人を目標に、着実に10000人への道を開拓していきたいと思っています。僕自身のフォロワーも増えてくれたらなーんて笑笑


 そんな話はここまでにしておいて次回作ですが、まずは「こえけん」というコンテスト用の短編作品を書いていきます。9月以降はまだ模索中です。この前に近況ノートで書きますと発表していた作品を書いていくのもありかなとは思っているのですが正直、カクヨムコンテストのほうに回すのもありかなとも思っていて少しだけ決めかねています。というのも10月からは大学の方で研究室の方に仮配属されるのでそちらの方で時間が取られたら書けないんじゃないかと懸念しているからです。なるべく書けるようにするためにも今のうちに12月からのカクコン準備に回すのもアリなのかなとも思っています。


 ただ、実のところ次回作の案だけは異世界ファンタジー、ラブコメとたくさんあるのでそこから行き当たりばったりで書いていくのもありなのかなと。


 この作品も一応「スニーカー大賞」に応募しているので、適当に賞レースに参加するのもありかななんて思ってもいます。


 てな感じで未知数です。

 ひとまずは「こえけん」コンテスト用の短編甘々ラブコメを書くのでお楽しみに。


 公開したらここに貼っておきます。


 次回作「まな板な天使様に甘々に溶かされるだけの日常(G`sこえけん応募作)」※おそらく全9、10話くらい


 URL→ https://kakuyomu.jp/works/16817139557310473473/episodes/16817139557673120705





 最後に、改めて読んでいただきありがとうございました。これからも読者の方々を楽しませられるような作品を書いていけるように、そしていつしか書籍化の壁を越えられるように精進していきますのでよろしくお願います。もし星評価、コメント付きレビューまだだよって方は是非是非書いていってください! また僕のアカウントをフォローしてないっていう方もよければポチポチっとフォローお願いします!


 PS:異世界ファンタジーの方を全然更新してなくてすみません。今後の話は一応考えているのでちゃんと投稿したいです!




 


 

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4年前に救った超絶美少女が最高に病んで俺の元に帰ってきた件 藍坂イツキ @fanao44131406

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