第1話

「うっ…!ここは滅亡の炎が我々を燃やす場所…!兄様よ、ここからすぐに退避するのだ!」

 弁当を食べる俺を横によく分からない発言をしている者が一人。

 髪は金色、空色の瞳を輝かせた生粋の外国人のように見える低身長の少女だった。

 あまり気にせずに黙々と箸をすすめるがそんな俺の視線に容赦なく少女は入ってくる。

 なので会話がてら一つ質問をしてみた。

「あのさ~結局お前は誰なんだ?そもそも俺には妹なんて一人もいないぞ」

 すると少女は不適な笑みを浮かべながら右手を左眼に当てて答えた。

「よくぞ聞いてくれた!我が名は恐怖の大王の手により現代に蘇りし占星術師!」

 何だか面倒かつ長くなりそうな気配を感じたので床に寝転がりながら聞くことにした。

「過去・未来全てを視る者!アンゴルモアなり!」

 自己紹介が終わると少女は高々と笑い始めた。

 実際のところは名前と蘇りは違うが。

 少女の本当の名前は星視夜嶺絃ほしみやねお

 どうやら一流の占星術師らしくその的中率は96.5%らしい。

 そして何故かは分からないが厨二病のような発言をする。

 ここまではまだ氷を噛み砕く位には分かることだ。

 現にラノベなどでもこの類の少女がヒロインなんてことはざらにあることだ。

 だが一番の問題なのは少女が俺の義妹と言うことだ。

「とりあえず…いつから俺はお前の兄になったんだ?」

 俺の疑問に嶺絃は首をかしげた。

「いつから?今日の朝からだ!」

 そんなことだろうとは思っていたがまさか現実に起こるとは。

「ちょっと待て。それなら俺の妹だって言う証拠はあるのか?」

 俺の苗字である星視夜と言うこと以外共通点が全く無い。

 更には俺が嶺絃を見たのも今日が初めてだ。

 だからこそ今の俺には納得のいく証拠が欲しかった。

 そんな俺を気にすることなく嶺絃はスマホを取り出すとある動画を俺に見せてきた。

 体を起こし、スマホを見つめた。

「おお真里斗まりと、久しぶりだな。そっちは元気でやってるか?そうかそうか!なら良かった」

 動画を一時停止し何となくこの先の展開が見えたような気がした。

 そして俺の予想を確かめるために動画を再生した。

「ところでお前に朗報があってだな。今隣に

小っこい少女がいるだろう?その子は今日からお前の妹だ。よろしく頼むぞ~」

 ここで動画は終わっていた。

 そして見事なまでに俺の予想は当たっていた。 

「と言う事だから今日から我が配下として存分に力を振るうのだ!」

「待て!配下ってことは俺の家に住むってことか!?」

「その通りだ!私と共に居られることを光栄に思うが良い!」

 高笑いをする嶺絃を横に俺は思わず涙を流しそうになってしまった。

(これからの生活費どうしようか…)





 

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クラスの転校生は占星術師であり厨二病の義妹 露乃琴音 @tuyunokotone

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