大嫌いな女と、大好きだった女の死体を埋める

「知ってる？　共犯者って、この世で最も親密な関係なんだって。わたしの好きな小説に書いてあったんだけど」
主人公・仲川七海は、何の因果か大嫌いな女と大好きだった女の死体を埋める羽目になっていた。
大好きだった女――葛西イツキを殺したのは間違いなく七海であったが、しかしそこには大嫌いな女――佐山ユカの策略（などと呼ぶまでもない嫌がらせ）が大きく関わっていて、けれどもそれでも、七海はユカを殺せなかった。
殺そうとしても、体が拒否するのだ。
イツキを殺した瞬間がフラッシュバックして、本当に殺すべき女が殺せない。
そんな仲川七海と、七海が嫌そうな顔をしているのを見るのが生きがいの佐山ユカの、共犯者とは呼びがたい関係性の行く末を描く物語。