全部で一万文字に満たない短編ですが、中身が、とても濃いです。

展開が早く、主人公たちが運命に翻弄される様子は、読者の感情を揺さぶるでしょう。

最初から最後まで、一気読みをしました。

罪人の娘ゆえ、孤独なシリル。
樹木の精霊、ヘクサは、彼女に恋をします。

それは、淡い恋。
一途な恋。
たった一人だけに捧げられる愛。
尊く、とことん熱い恋です。

短編ですが、読み終わったあと、中編を読んだかのような満足感です。

タイトルが仕掛けとなり、ラストまで読むと意味がわかります。

そこで改めて読者は問われるのです。赤花に込められた想いは？　と

これを悲恋と読むか、成就と読むか。それとも……？

あなたも読んで確かめてみてください。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（255文字）

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（183文字）

愛と喪失を描いた物語。

愛することと喪失することは同義なのだろうか。
優しい人達が助け、そして、憎しみに失い。喪失と復讐が物語を盛り上げる。

ネタバレ要素書きたくないのですが、もし入っていたらごめんなさい。

とにかくどんでん返しに、裏切りに、ほのぼのに怒りと悲しみ、そして不思議な世界観。この短編でよくここまで入れたと思います。そして、1番難しいことは、内容を詰めすぎたが故の説明や描写の難しさ。だけど、これだけ詰め込んでも、よく理解できる、優しくも考えられた文章です。

是非一度読んでみてください。

　罪人の娘ゆえに孤独な生活を送る少女シリル。彼女はいつも丘の上にある大木の下で青年の絵を描いていた。
　シリルの環境に変化が訪れ、その地を去った後その大木は人の姿に変化して……
　淡々とした静かな筆致で綴られる、シリルと大木の化身ヘクサの恋物語です。切ない人外×少女の物語が好きな方に特にお薦めです。