転生皇帝の異世界覇道
@sanmiittai416
第1話 異世界と主人公
ここは異世界。科学と魔法が並立する世界。いたずら好きな多くの神が多くの転生者を送り込んだ場所である。人間、魔族、亜人といった知的生命体がいて、お互いがお互いを憎み、現世以上に血塗られた歴史を持つ。
人間は勇者を送り出し、魔族は魔王を担ぎ上げる。排斥と迫害。ご都合主義と偽善。平和を享受できる者は、ごく一部である。それでも民衆は、毎日をより楽しく過ごせるように努力しているのだった。
今日も街は民衆の叫ぶ声が聞こえる
「どうか、勇者様に御慈悲を!」
「陛下!勇者様の斬首を、どうか、どうかお取りやめに!」
今日も市民を守る騎士たちは忙しい。
「道を塞ぐ者はどかせろ。それでも抵抗する者は斬れ」
騎士団長は司令をくだす。
「はっ」
忠実な騎士たちは任務を遂行する。次第に、あちらこちらで断末魔が聞こえるようになった。騎士団員たちは檻付きの馬車で、罪人を刑場まで護送していた。罪人は“勇者様”と呼ばれていた。民衆は罪人を奪おうとしているのだった。
すると、
「勇者様を返せー!」
怯える民衆の中からその声が聞こえた途端、馬車目がけて石や家具類が投げられてきた。すると、馬が驚き、御者の制止を振り切って逃走し、罪人の乗る車両が揺らいで民衆の方へと飛んでいった。御者は衝撃を受け、頭を打った。
「さあ、勇者様、今お助けします」
女性たちがここぞとばかりに寄ってきて、ヤスリやハサミで檻と拘束具を切ろうとした。
「逃げてください・・俺なんか置いて、早く・・!」
勇者様と呼ばれる彼は今にも枯れそうな声でそう言った。
「何をしている!その男から離れろ!」
騎士たちが気づき、こちらに向かってくる。それでも女性たちは逃げなかった。罪人は最後の力を振り絞るように
「早く逃げて!」
と叫んだ。
時、既に遅し。
騎士たちは、悲壮な面持ちで仕事を遂行した。
「この世には、神も天使もいないのか」
馬車は半壊しており、罪人はそのまま歩いて刑場に向かわされた。
中央政府、つまり皇宮でも、今日は騒がしい。
「これ以上の粛清をお取りやめください、皇帝陛下!」
「皇帝陛下の威信は既に國中に轟いております。これ以上の
粛清は、民を怯えさせるだけで・・・」
重臣たちが宮殿の前に集まって署名者の名簿を掲げてひれ伏している。しかし、その『皇帝』という人物からの返答はない。その後、衛兵により、重臣たちはあっけなく宮殿前から追い出されていった。
皇帝はなにも言わなかった。ただ、この世のすべての富を結集した宮殿の玉座でふんぞりかえっているだけである。
「おい、しっかり練習しろ」
今日もなかば怒鳴るように部員に声をかけるのは、神河中学校三年生、男子卓球部副部長の、半沢サキト《ハンザワ・サキト》である。
「また怒鳴ってるよ・・」
「ほんと怖えよな。逆らったら何されるかわかんねえ」
二年生の
「あのさ、こないだあの【独裁者】さ、みんなが弱いから俺が強くなれないとか言ってたぜ」
「え?まじ?」
「自意識過剰すぎな。」
【独裁者】そう裏で呼ばれている。隆人は言った。
「アイツのせいで部長かわいそうだな。【独裁者】に主導権取られて名ばかりになったし」
山仁も言う。
「そして他の生徒から無能な部長って後ろ指指されたんだよな。・・・いまや不登校」
「生徒会からも部長職をサキトのやろうにわたせと言う意見が出ているらしい。もう、いっそのこと、僕らで部長を復帰させて【独裁者】に対抗しようぜ」
悠人がそんな提案をした。二人は揃って賛成した。
「いいな、それ」
「で、どうする?誰を仲間に誘う?」
部長復帰計画を話し合っていると、アイツがやって来た。男子卓球部の独裁者が。
「おい、お前ら!しゃべってないで練習しろや!特に悠人、お前大会控えてるだろうが」
と、吐き捨てまた歩いて行った
「いくら正論だろうと、毎回あの言い方だと嫌気がするんだよな。あと、友達でもないのに僕らのこと呼び捨てにしてさ・・・」
「それな」
サキトの評判は、部活内では最悪である。しかし、サキトはスクールカースト上位の奴らと繋がりがある。だからこそ、誰も意義をとなえられないのだ。
転生皇帝の異世界覇道 @sanmiittai416
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