第三回 京都文学賞についての覚書

絢谷りつこ

第1話

 昨年9月〆切の、第三回京都文学賞に応募いたしました。

 地方文学賞への応募は初めてでした。

 実は第一回からどうしようか悩んでいて、決心して書き上げて応募したのは第三回でした。


 わたしは大阪生まれ大阪育ちで、京都は日帰りで気軽に行ける観光地でした。


 父方の祖母は京都生まれ京都育ちでした。わたしが生まれた頃には大阪に一人で住んでいまして、おばあちゃんのうちに行くと必ずそばぼうろがありました。子どものころ、たいしておいしいとは思っていなかったけれど、花の形が可愛らしいのと、まんなかのくりぬいたところの丸い部分が何故か好きでした。生八つ橋といえば、あんこがはさまった三角形のものが主流ですが、おばあちゃんちにはあんこがはさまっていない、短冊状の皮だけのものがよくありました。

 父も京都生まれだと聞いていたのですが、亡くなったときに戸籍を遡ったら、生まれは大阪でした。京都に住んでいたことがあると話していた気がするので、行ったりきたり……だったのかも。母も、父は京都生まれだと思っていたようなので、そのへんのところを知っている人はもういないので確かめようもありませんが。


 まぁともかく、うっすらと縁のある京都の文学賞ですし、当時書こうとしていたものが京都を舞台にしようとしていたこともあり、応募しました。


 一次、二次を通過し、今年2月頃だったでしょうか、封書で最終選考に残った旨のお知らせが届きました。

 作品としてはまぁまぁいいんじゃないかと思っていたものの、賞の趣旨といいますか、雰囲気には合わないだろうと半ば諦めていたのでびっくりしました。


 地方文学賞への勝手なイメージとして、その土地での温かい交流、歴史、あるいは社会的問題提起をされた作品が求められているだろうと考えておりまして、自分の作はあまりふさわしくないのだろうなぁ、と。

 応募時にジャンルを選ぶ際、純文学を選択したのですが、この選択も、エンタメじゃない気がするな、という消極的な判断でした。


 文章は堅めに古風にきれいに書いたつもりなのですが、内容はといえば、一言でいうと幻想昼ドラなのですよ。ドロドロ昼ドラ育ちなのですよ、わたし。お手本は牡丹と薔薇です。昼ドラ+ホラーファンタジーです。

(募集要項ではオールジャンルOKとのことでした念のため)


 まぁ、そんなわけで、びっくりと、それても最終に残ったのが嬉しいのと、期待と不安と疑念でぐちゃぐちゃになりながら結果を待ちました。


 結果は、受賞はならずでした。

 がっかりと、うん、まぁそうかな……って感じでした。


 ご担当の方からメールにて、選考過程での選評をとりまとめたもの、広報資料などをいただきました。とっても親切で丁寧なご連絡でした。

 選評はけっこうなボリュームでした。これは、いや他をそんなに知らないのですが、他の文学賞と比較してもかなり魅力的なところではないでしょうか。ネットでちらりと見たところ、一次選考を通過すると選評をいただけるようです。

 ボリューム以外に選評を拝読して思ったのは、真逆の捉え方がされているのだな、と。詳細は書けませんが同じ箇所に対して「ここよく書けてる!」「ここ全然あかんやん!」という方がいらっしゃったという感じです。


 ということは、ですよ。


 自分の感覚を信じるしかないじゃないですか。

 反省すべき点は反省するとして、意見が二分した場合、自分を肯定してくださったほうを信じる……というか、そちらに賭けるしかないかな、と思うのです。


 そういうわけで、応募作品は「鬼と雨」です。

 よろしかったら、ご一読いただけると嬉しいです。


https://kakuyomu.jp/works/16817139554575466720



 どこか拾ってくんねーかなー。

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